【爆豪勝己】仮面王女の鎖

15. それで良いのかよ ページ17

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「ヒーロー、と呼ばれる人々はこの国には
いませんが…



___素敵ですね。ヒーローも、貴方も」



穏やかに笑いながらこちらを見る女。

今の話で、俺がヒーローだと察したようだ
まぁこんくらいバレたって問題ねェけど。




「あぁ、そうらしいな。

大丈夫なんか、この国の治安は」



彼女いわく、警察の役割もヒーローの役割も
ベルガラール軍によって行われているらしい。


調べたから知ってっけど。


有名だ。ベルガラール軍は世界最強の軍隊と
呼ばれている。


その理由は__
レガト人が大半を占めているからだ。



「あまり外に出ないので分かりませんが…

ベルガラール軍の下で、
治安は悪くなり得ないと思います」


皮肉だな
迫害されてる民族が、迫害する民族の為に
戦ってるなんてよ。




そんな事も…おそらく

こんな綺麗な所しかねぇ国の貴族として
大事に育てられてきたであろうこの女には
一生かかっても分からねェんだろうな。




「…そういや名前聞いてなかったな、名乗れ」



唐突だったかもしれねェ俺の言葉に


女は少し、目を逸らした。
何かを考えていたようにも見える。



そして、


「…A、です」



そう答えた。

ファーストネームなんだろうが、それしか
言わねェならそう呼ぶしかねェ。




「…Aか」


そう呟くと、

「嬉しいですね。名前を呼んでくれるのは」



さっきから思っていた、その笑った表情。


何でコイツは
こんなに悲しそうに笑うのだろうか。







「…お前、声出して笑ったりしねェのか？

口開けて笑ったりとかよ」







コイツの笑顔は

全然歯ァ見せて笑わねえ、愛想笑いだ。




「…『歯を見せて笑ってはいけない』と
教わっているのです。


もし気を悪くさせてしまったのなら、
申し訳ありません」






笑い方ですら、自由じゃねェのか。









「…A、お前はそれで良いのか」



「え…？」

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