【五条悟】ブラックスマイル 2

62. 寂しいね ページ27

【五条side】



恵と次の任務の軽い確認をするつもりだったんだけど
思いもよらぬ所にAがいて驚いた。


地面に座って式神と戯れるなんて
やっぱりそういう所は昔から変わってないらしい。

てるてる坊主とか作ってたもんな。




2人で何話してたんだろ。




伏「…才珠さんと何かあったんですか」

「…別に？ちょっと言い合いになっただけさ」





情けな。
彼女相手に言い合いになるワケがないのにさ。

一方的に僕がキレたみたいなもんだよ。




伏「玉犬の…白が壊れた事を伝えたら

あの人、『寂しいね』って言ってました」



隣を歩く恵は、僕の様子を伺うわけでも無く
そう言った。



「…で？」

伏「別に。それだけです」



だろうね。もうその言葉が全てだもん。


パ「お、いたいた恵〜。ちょっと良いか？」

伏「あ、ハイ」



遠ざかる恵の背中を見送る。




誰かの指示に従って、どうでもいいからと
悠仁を殺そうとしてた彼女は

『寂しいね』が自身の本質だと気付いてない。


「…優しすぎるんだよ」




僕とは大違いだ。


さっきの場所を歩いていくと
式神の影が見えた。


随分と集まって大人しいな。


もう少し近づくと
安心するように眠る玉犬と、木にもたれて
それを抱きしめながら眠ってるAが見えた。


鵺は起きてるけど、彼女の睡眠を邪魔されないように
見張ってるんだろうな。よく懐くよ、ホント。




本当はめちゃくちゃ写真撮りたいけど
鵺が許してくれなさそうだ。



「…ホンット、ズルいくらい可愛い」



そっと反対側の木にもたれて目を瞑る分には
許してくれたみたいだけど。

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