【呪術廻戦】ブラッドスマイル

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家入side



何で高専で働いてるんでしょうかなんて

聞かれても困る。そう返すと


『はは、そうですよね〜』と誤魔化すように
彼女は笑った。



「…辞めたいのか？」


『……分からないんです。


この前、プロポーズされたんですけど…
結婚したら仕事を辞めて欲しいって言われて』



まだ何も付いてない左手を眺めながら
そう返してくる。



結婚…か。

私はそんな相手が居ないから問題では無いが

一般的に20半ばになれば、女性にとっては
人生において大きな選択肢の要素になる。




彼女がその1人になる事は何らおかしくない。



『術師って…普通の生活は送れないですよね』
　
「あぁ、他の人とは少し違うだろうね

平気で身近な人が死ぬ。
私たちが助けられなかった人たちだって
数え切れない」


楽な仕事なんてものは存在しないだろうが

他の仕事とは常軌を逸した精神的負担が
私たち術師にはのしかかる。


医師ならばなおさらだ。
自分の手で助けられた者は生き延び
助けられなかった者は死ぬ。


責任を感じる事だって…無いとは言えない。


『…この世界から逃げたら、怒りますか？』

「私が君を怒る理由は無い。


ただ……
君がそれほど迷ってる理由があるって事は
ちゃんと考えた方が良い」



責任を感じながら
人を救い続けてきた彼女だからこそ


目の前に置かれた『普通の幸せ』に
手を伸ばすのを躊躇している。



普通なら、きっと迷わない。

【どうして高専で働いているか】なんて
彼女はもう分かっているだろう。

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