【呪術廻戦】ブラッドスマイル

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貴女side




今、私はとある部屋の中で

五条さんと向かい合わせで座っている。





目隠しを取った姿を見るのは初めてで
こんな顔立ちをしていたのかと少し驚いた。


容姿端麗、才に溢れた家柄のいい男性など
世の中の女性は放って置かないだろうし

きっと私も身分不相応だと言われるだろう。
それ程に良く出来た人だ。




「いやー急にごめんね。来てくれて嬉しいよ。

…で、単刀直入に聞くけど
僕と結婚してくれるってことでいいのかな？」



よく笑う人。そして自信家なのが見て取れる。


そんな笑顔に私は、初めて逆らう。



『…私はきっと、貴方が期待するような
良く出来た人間ではありません。

自分の意思では何も決めてこなかった。
ただの庵家の人形のようなものです。

きっと貴方を失望させてしまいます。
ですから…今回のお話はお断りさせて下さい』




言えた。言えたよ姉さん。


彼は少しの間キョトンとした顔をしていた。
だけどすぐに柔らかい笑顔に戻った。



「君の言う『良く出来た人』って、何？」

『それは…貴方みたいな人、でしょうか』

「ハハ、君はきっと僕の容姿や才を見て
そう思ってくれたのかな。

なら君も『良く出来た人』のハズだよね
ただの謙遜で使った言葉ならそれまでだけど」


何となく、彼の言いたい事の察しはついた。

つまらない人間だと一蹴されるだろう。
別にそれで良い。事実だ。


実際、彼の言葉に何も返せない。



「僕は『良く出来た人』なんて居ないと思うよ

だって僕自身性格が悪い自覚はあるしね。


君は自分は人形だって言って
今回の話も言われるままに引き受けたけど

ちゃんと自分の意思で断ったでしょ？


君も僕も良く出来た人間じゃ無いんだろうけど
そうじゃないと多分好きにならないよ。

まず僕は君をよく知らないまま好きになったし
元から君に完璧なんて求めていないよ。

むしろそうやって正直に断ってくれて
もっと君を好きになれた。



だから、待つよ。

僕は性格を直す気無いし
君の求める人にはなれないと思うけど

せめて君が自分の意思で
もう1度僕を見て判断してからでも

全然遅くないと思うんだ」





怖かった。自分の思いを伝える事が。

だけどこうして
温かく受け止めてくれる人がいるのなら

甘えてみても、良いのかもしれない。


そしてそんな人を好きになれるような
私になりたい。




Fin

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