【呪術廻戦】ブラッドスマイル

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貴女side




【せめて歌姫よりマシになりなさい】



小さな時から、よく言われていた。


とても嫌いな言葉だった。


どうして人は、物事の価値を比較してでしか
定められないのだろうかと疑問があった。




簡単に言う。私と姉さんは似ていない。



姉さんはあまり笑わないけど、私は笑う。

姉さんは少し短気だけど、私は怒らない。

姉さんは失敗ばかりするけど、私はしない。



庵家において求められた品格や容姿は
全て私に与えられた。

呪術における、才能さえも。



姉さんにとってこの家は苦痛だっただろう。
だから家を出て行ったのだと思う。


今でも人付き合いで他の家の元へ顔を出す度に


『歌姫さんはあの歳で結婚もしていないの？』
『顔にあんな傷があったらねぇ』


そんな陰口を姉さんは言われ続けているし。


それと反比例するように私は


『華姫さんは本当に名前の如く美しいわね』
『嫁いで貰いたくても恐れ多くて言えないわ』



悪口を言われることなど、無かったと思う。
言われるような事は一切やらなかったから。



私は、庵家の言いなりだ。


ここで教鞭をとっているのだって

姉さんに嫌がらせをしたいと考えた親に
強く勧められたからだった。


気は進まなかった。

嫌がらせなど望んでいないし
そもそも教師なんて興味のカケラも無い。


それでも言われるがままに動いてしまう。
断れない。失望されるのが怖いから。



そしてそんな時、私の元に見合いの話が来た。


呪術界で知らない人はいないほどの有名人。
それもまた、姉さんが嫌ってる人。



話を聞く限り、彼の一目惚れらしい。

確かに何度か話す機会はあったが、一瞬だ。





【華姫が五条家に嫁いでくれるなんて嬉しい。
これで庵家の名誉も保たれるわ。

歌姫と違って、本当に華姫は親孝行ね】



自分たちの利益しか考えていない。




それでも私は


ニコリと笑って返事をする事しか出来ない。

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