【呪術廻戦】ブラッドスマイル

・ ページ15

貴女side




晴れの日が大嫌いだった。
見たくもない未来が、ランダムに現れる。


そして今まで見た何千の未来の中で
呪いが映っていないものは１つも無かった。




10月末、五条先生は渋谷で呪詛師の策略により
封印される。


そこで繰り広げられる激戦で
一体誰が死に、誰が生き残るのか。

もう『決まっている』事なのだ。
それを私は全て知っている。

未来を変える方法は、ある。
だけどその効果はまだ分からない。



いつだって笑顔で、底無しに明るくて優しい
そんな彼が私を好きになる事も

ずっと前から分かっていた。


だから避けようとしたけど、無理だった。


避けようとしたのは、
私が彼を嫌っていたからではない。

むしろその逆だった。私も彼が好きだから。


晴れの日には、未来が見える。
目を覆いたくなるような未来。


だけど


「おー！晴れた晴れた！！」


眩しそうに太陽に目を細めて笑う彼の笑顔が
大好きだった。




今、『晴れが好きか』と聞かれた。


嫌いじゃない。嫌いじゃなくなってしまった。

貴方の笑顔のおかげだった。
だけどそれが奪われる未来も存在する。




そして今日が来てしまった。




私は知っている。

この後2人で向かう現場には
3級ではなく特級相当の呪いがいる。


私はここで攻撃を受けて死ぬ。
彼も瀕死。その後どうなるか分からない。


この未来を見たのは、昨日だった。


そのタイミングで彼の好意を知るのは
かなり心にくるものがあった。




愛ほど歪んだ呪いはないと
五条先生が独り言のように呟いたのを
偶然聞いた事がある。



確かにその通りだ。だけど彼は少し違う。

彼ならきっと、呪いも全て
力に変える事ができる。


だから私は最期に足掻くんだ。

彼に呪いを託してでも。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す