【五条悟】ブラックスマイル

9. 白髪と角砂糖 ページ11

【貴女side】




「…結婚すんの？」

『冷める前に飲んで欲しいな』



不満そうな顔を浮かべながらも
『ありがと』と彼は再び席につく。


「…で、結婚すんの？
僕はもちろん反対なんだけど」


『私のことがそんなに気になる？』

「それもあるけど

君、笑ってないじゃんこの写真」



横目で写真を見るようにそう答える彼。
そこに映るのは、いつも通りの私の笑顔。


望んでこうなったわけじゃない。
別に相手の事は何とも思っていない。

一方的に結婚まで持ってこられただけだ。



『…結婚しないよ。ホステスも昨日辞めた』

「え？」


角砂糖を5、6個入れて飲む。


『前から決めていたことなの。

他にも3つくらい家を買ってもらったけど
もう既に荷物は捨てているし

この家も荷物纏めて蒸発しようかなって。
五条くんにも居場所がバレたし』


にしてもどうしようか

自分の名義でどこかに住むとなると
必ず家を買ってくれた客たちは追ってくる。


特にこの家の男なんて厄介。


何もせずに生きて行きたいのに
やはりそうも上手くはいかないみたい。

今までお金貯めた意味ってなるけど仕方ない

安楽死が認められてる国にでも移住して
早く__「高専に戻っておいで」


いつの間にか目隠しをして
角砂糖をボチャボチャ入れている五条くん。


『どうしてそうなるの？』

「放って置いたら君は死ぬつもりなんでしょ」

『それ、あなたに関係ある？』

「大いにある。好きな人が死のうとしてんのに
止めない男っていんの？」

『知らない』

「いないから、絶対」

『そう。私はあなたが
もし仮にそうなってもきっと止めない』

「酷いこと言うね〜(笑)
まあ君は僕に興味ないからね、当然か

それに大丈夫、僕死なないから」

『そう』



心底どうでも良い話だ。

『私に呪術師に戻れって言ってる？』

「まぁそうなってくれたらありがたいけど

君を匿うのが目的かな。

高専に居るなら住所とか絶対バレないし
普通の人は入ってこれない。どう？」


……この人は


『何で私を助けるの？』


「何でって…


君に笑って欲しいから？」



頭がおかしい人だということを忘れていた。


『五条くんが何言ってるか私には分からない』

「分かる日が来るまでは一緒に居て欲しいな」


そう笑って、彼は砂糖を追加した。

10. いつから君は→←8. 見捨てられた指輪

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す