文字ってなに ページ5
初日だからとたくさんの本の配布とジュギョーの話とで終わりらしい。
なんとなくわかってきたぞ。この"学校"って、ヘビ顔ババアが言ってたやつだ。将来ビッグになるためにベンキョーして賢くなるんだったか。
馬鹿だよな、ビッグになれる奴はそもそもあんな場所にいねェっての。
それで言ったら僕も同じだが、勝手に連れてこられちゃあどうしようもない。ていうか帰り方わかんないし。
と、そんなことをデュースと寮に帰るまでの間考えていた。
「字が読めないとなると、勉強自体が困難だ。これから課題も増えそうだが…まずはABCから学んだ方がいい」
『そうだよなァ、やっぱし字読めないのは厳しいよなァ』
「……Aは学校に行かなかったのか?」
遠慮がちに聞かれた。
この手の質問は同業者たちにも散々された。
『うん行かなかったよ。というか行ったことないなァ。僕ずっと、…サーカス団で働いてたから』
「サーカス…そうか、出張営業。」
『せいかァい。これでも僕人気演者だったんだよォ?』
「人気者が休業中とは、向こうも残念だろうな」
一瞬言葉に詰まった。
けど、案外素直に出てきた。
『そうだな。せいぜい困ってろ』
不思議そうに顔を覗きこまれたのでニッコリと笑って返す。
そうこうしていると鏡舎についた。
教室くらいの広さの部屋には7つのゲートがあり、その奥にそれぞれ置かれた鏡が各寮と繋がっている。
「腕章の色からして僕らは違う寮だし、ここまでだな。じゃあ…」
と、別れようとしたその時
「こーーーらーーーーー!!!」
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作者名:くろかは | 作成日時:2020年3月24日 15時