サーカス団員は隙だらけ (ページ36)

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策謀ってなにページ36

時は数分前に遡る。

Aが一瞬考えたように、アズールが依頼されたものはレオナの策謀の鍵であった。

なぜ今年は選手の入場行進があるのか。

なぜアズールに増幅薬を作らせたのか。

それは、かの憎きディアソムニア寮のマレウス・ドラコニアを討つため。

作戦はこうだ。

選手たちを人目見ようと訪れた観客たちに、増幅薬を飲んだラギーがユニーク魔法をかける。

その魔法とは【愚者の行進(ﾗﾌ·ｳｨｽﾞ·ﾐｰ)】、対象に自身と同じ動きをさせるもの。

増幅薬によって大人数に魔法をかけた状態で走れば、観客たちはヌーの大群も同然。

標的は行進の先頭、ディアソムニア寮のマレウス・ドラコニア。

彼は"妖精族の王子"というのもあり、一般客に向けて魔法は放てず、そのまま大群に押し潰される。

そうすれば大会には怪我で出られず、マレウスを失ったディアソムニアなど敵ではないという算段だ。

確かに計画通りに進んでいた。

ただ、誰が「何も対策はされていない」と言った？

ユウたちは先に手を回していた。

事前にディアソムニア側に詳細を話し、行進にはケイトのユニーク魔法【舞い散る手札(ｽﾌﾟﾘｯﾄ·ｶｰﾄﾞ)】で生み出されたケイトが変装して代行する。

その間マレウスはその場の収束に尽力し、事なきを得た。

つまり、サバナクローの作戦は失敗したのだ。

しかも現場はリドルたちに押さえられてしまった。

何もかもを理解したとき、レオナ・キングスカラーは

「…………………あー、もういい」

興醒めと言わんばかりにそう零した。