サーカス団員は隙だらけ (ページ23)

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約束ってなにページ23

初日にドワーフ鉱山に行ったように、学校から許可を得れば鏡で学校外に出かけることができる。

ミステリーショップにはないものだってどうしてもあるし、みんなどうやって私物増やしてンだろうと疑問に思ってたけど、鏡を使っていたからだった。

帰りのHRが終わったあと教えてくれたエースは、そのまま僕に問いかける。

「Aはどこも行かねーの？」

『行こうにもどこに何があるのか知らないからねェ』

「そっか。場所をイメージできなきゃ鏡も繋いでくれないもんな」

納得した様子だ。デュースから伝わったのか僕がサーカス団で働いていたことは知ってるようだし、土地勘がないことにも特に言及されなかった。

するとぴこん、と閃いたような顔で

「じゃあさ、明日オレと一緒にどっか行かね？オレちょうど欲しい物あるし、お前は外に行ける。明日ちょうどホリデーだし悪くないっしょ？」

『おォ…！頭いい！行こう行こう！』

「うし、じゃあ明日の朝10時鏡舎な！」

エースはニッと笑って部活に行った。たしかバスケ部だったっけ。

僕はそのまま教務室に行き、いつものようにトレインセンセーに読み書きを教わる。最近は子供向けの簡単な絵本を読んで練習してる。

『失礼しまァ…あれ、トレインセンセーまだ来てなかったかァ』

「Bad boy… 相変わらず躾がなってないな。返事を聞いてから入室しろ」

『さーせェん』

ヘラヘラしてたからまた怒られるかと思ったけど、眉を上げたクルーウェルセンセーが放った言葉は予想とは違った。

「随分ご機嫌だな」

『ひゃは、わかりますかねェ？』

「誰でも見ればわかるさ」

『おォう…いや実はね、僕明日初めて友達とお出かけするんですよォ！』

「ほう、それは良かったな」

自分から話振ってきたくせに全然興味なさそうだ。知ってた。

「…くれぐれも気を付けろよ」

『えェ？』

「友達とやらと絶対に離れるな」

『……どーしたんスかセンセー、やけに心配してくれますねェ？』

茶化すように返すとセンセーは鼻を鳴らし、それきり何も答えてくれなくなった。

センセーは僕のことをちっちゃい子だと思ってるのかな。さすがに迷子になるとは思わないけどなァ。

トレインセンセーが来るまで暇だったので、気付かれないのをいいことにクルーウェルセンセーの毛皮のコートの尻尾をずっといじってた。