サーカス団員は隙だらけ (ページ2)

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入学ってなにページ2

ナイトレイブンカレッジ

由緒正しき魔法士養成学校のここで、入学式が始まった。

広い部屋の真ん中には鏡が浮いており、その後ろにローブを着た青年達と1台のタブレットが控える。
そしてそれらを前に多数の黒い棺が浮いていた。

厳粛な雰囲気の中現れたペストマスクの男が指を鳴らせば、一斉に鍵が回り、棺もとい"扉"が開く。

中で眠っていた青年たちは目を開き、床に両足を下ろした。そして目の前の光景を確認するとさらに目を見開く。感嘆の息を洩らす者も少なくない。

しかしただひとり、目を開けた状態のまま呆ける黒髪の青年がいた。

ゆっくり周囲を見渡すと、今度は視線を落とし自分の身なりを確認してさらに戸惑う。棺から出てきた青年たちは皆鏡の後ろに控える青年達同様ローブに身を包んでいて、彼も例外ではない。

すると後ろに控える青年のうち1人が声を上げた。

「___キミ、そろそろ下りたらどうだい？驚く気持ちもわかるけれど、式の進行を妨げてはいけないよ」

黒髪の青年は未だ「式…？」と混乱していたが、声をかけてきた赤髪の青年の威圧感に負け、恐る恐る床に下りた。

その一連の流れによって注目を集めたものの、下りてしまえば視線は外される。

ペストマスクの男がマスクの奥の目をニコリと光らせると、朗々と語り出した。

「ようこそナイトレイブンカレッジへ！私は学園長のディア・クロウリーです。どうぞよろしく。

みなさんは闇の鏡に優秀な魔法士となる資質を認められた、類稀なる才能の持ち主です。とはいえまだ原石の段階ですから、これから学友と共に3年間磨いていってください。

__さて、それでは今からみなさんの寮分けを行います。そちらから順番に鏡の前へ……おや？」

男、もとい学園長の話がピタリと止まる。

学園長はため息をつくと、寮分けを続けるよう言い残して広間を出ていった。

どうやら前代未聞の事態らしく後ろに控える青年たちも戸惑いを隠せなかったが、言われた通りひとりひとり順に鏡の前に立たせた。

(寮……部屋割りみたいなものか？)

黒髪の青年も流されるまま鏡の前に立つと、突然鏡に映る仮面が喋り出し、思わず一歩後ずさってしまう。

「汝の名を告げよ」

視線をつま先に落として、掠れ震える声で名を告げる。

『ﾋｯ……A、です』

「A……。汝の魂のかたちは………」

鏡に映る仮面は縮こまる青年を凝視した。