近くて遠い《2》 (ページ42)

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七瀬と話をしたあの日、やっと隼人くんに着いて行くと決めた。

そうと決まれば早速引越し準備をしないと間に合わないくらいまで日にちが迫っていた。

『はぁー、こんなにいらんもんあったとは』

東京に越して以来、引越しの経験がない私。

物欲はあまりない方で、買い物もそんなにする方じゃないけど

思ったよりも荷物が多くて驚く。

『これはー…いらん。

これはー…一応持ってくか』

いる物いらない物と、荷物を分けてると懐かしい物が出てきた。

『うわぁ、懐かしいー…』

望に恋をした日から付け始めた学生時代の日記。

パラパラと捲り、中を読む。

【6月16日：今日は珍しく、のんちゃんが家まで迎えに来てくれた。

並んで歩く姿はみんなから見たらカップルに見えたりしてんのかなぁ？】

『ぷっ、恋してんなぁ……』

【11月28日：のんちゃんは黒髪ロングがタイプらしい。

よーし、今日から伸ばすぞ！】

そうそう、望が黒髪ロングが好きだって知ってから

お母さんに邪魔くさいから切りなさいって言われても

断固として切らなかったんだよね～。

～♪～♪～♪

ノートを見ているとスマホが鳴った。

お母さんかな？

さっきお母さんにLINE入れたらまた望ママとしげちゃんママ来てるって言うから

じゃあお母さん1人になった時に電話掛けてって連絡してた。

『あ、もしもし？』

《母「あ、ごめん！遅なった！」》

『んーん。今日もタコパですか？笑』

《母「いいえ、今日はお好み焼きパーティー」》

『粉もんばっか』

《母「で？どないしたん？

お母さんと2人で話したいなんて珍しい」》

『あんな？びっくりして腰抜かさんでよ？笑』

《母「えぇ、何？怖いなぁ」》

『実はさ、

……私、結婚する事になりました！』

《母「えぇっ！？

………あ、あぁ！やっと望と結婚まで辿り着いたん？」》

『いや、望ちゃうし』

《母「え！？望ちゃうの！？」》

『うん、違うよ～？

会社の上司でね？すっごい良い人！』

《母「…はぁ？」》

『はぁ？って。

娘が結婚する～言うてんねんから、そこはおめでとうじゃないん？』

《母「だって望以外お母さん嫌やもん。」》

『はぁ？』

《母「あかんよ。望やないなら認めへん。」》

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