近くて遠い《2》 (ページ35)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:139,349 hit

P.82 ページ35

.

『えっと……』

突然の事すぎて何て答えていいのか分からない。

……望の事を忘れたくて、隼人くんを好きになろうって正直すごい頑張った

隼人くんは望とは全然違って

大人だし、紳士だし、優しいし

気遣いもできて、いつも褒めてくれて

いつどんな時でも大丈夫だよって優しく声を掛けてくれて

初めて行くようなお洒落なレストラン

ずっとデートで行くのに憧れてた水族館や遊園地

時にはバッティングセンターでお互い会社の愚痴を発散したり

本当に本当に今までした事ない経験をさせてくれて

いつの間にか、頑張らなくても隼人くんに気持ちが向いてた。

この間の長野さんのことだって

こんなにキャリアがある人なのに

私の為に、それを捨てる覚悟までしてくれて

あー、私すごく守られてるなって実感して

隼人くんともっと色んな事がしたい

私も隼人くんの為に行動できるようになりたいって。

……本当は、望のこと完全に忘れたかって聞かれると

正直、自分でも分からない。

けど、隼人くんに気持ちが向いてるのは本当で

だから今日、ずっと待っててくれた隼人くんに自分の気持ち伝えようと思った。

でも、結婚ってなるとそこまでまだ覚悟ができなくて

なんて答えていいのか、、。

西島「ごめん、急すぎてびっくりさせちゃったよね？」

『うん、すごいびっくりしてる』

西島「海外に行くって、俺も最初は凄い迷ったし覚悟が必要だと思う」

『そう、だよね』

西島「家族の事とか、色々考える事もあると思う」

そう。隼人くんの事も話した事ないのに

突然、結婚して海外に行きますなんて言えば

お父さんはびっくりして寝込んじゃうかも。

西島「今年の12月……」

『ん？』

西島「ちょうどクリスマス近くに、海外に行く事が決まってる。」

『12月…』

今は8月終わり、あと3ヶ月くらいしかない。

西島「それまでに、答え聞かせて欲しい。」

『……ん、分かった』

西島「それまでこの指輪、預かっててくれる？」

もう半分パニック状態の私は頷くことしかできなかった。

→