近くて遠い《2》 (ページ29)

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みんなも帰ってしまい、病室には隼人くんと2人きり。

何となく気まずい。

西島「何があったか、教えてくれる？」

『あー…えっと、……』

西島「ゆっくりでいいから、ちゃんと聞かせて？」

『その、何から話せばいいのか分からなくて』

西島「うん」

『はぁーっ。……あのね？

……嫌がらせ、受けてたの。』

西島「……嫌がらせ？いつから？」

『結構前から』

西島「どんな嫌がらせ……？」

『んーっ、最初はね？

引き出しの中にしねとか地獄に落ちろーとか書かれた紙だけで済んでたんだけど』

西島「うん」

『日に日にエスカレートしてって

何かに使ったティッシュとかゴミとか

……髪の毛とか』

西島「っ……」

『あ、でも毎日毎日同じような事されてたら慣れて来ちゃってさ？

あー平気じゃん！なんて思ってたんだけど、結構ギリギリだったみたい。

お陰でこんな事になっちゃいました。笑』

重たい空気は苦手。

あまり深刻に受け止めて自分のこと責められても困る。

だから、笑いながらそう言ったら隼人くんがギュッと抱きしめて来た。

西島「気付いてやれなくてごめん。

辛かったよね、苦しかったよね」

優しい声でそんなこと言われたら

泣くつもりなんて無かったのに勝手に涙出て来ちゃうじゃん。

西島「無理して笑わなくていいんだよ？

辛いなら辛いってそう言ってよ」

『っ……隼人くん』

こんなに我慢してたって事、私自身も気付いてなかったんだ。

『ほんとはね？』

西島「うん？」

『本当は誰かに相談したかった。

助けて欲しいって言いたかったの。

けど、隼人くんは仕事で忙しそうだったし

私のことでもっと負担かけるのは申し訳ないなって』

西島「んなわけないでしょ。

俺、Aちゃんの事好きなんだよ？

好きな人の為なら、負担だなんて思うこと一つもないよ？」

『隼人くん……』

西島「……今も続いてるの？その、嫌がらせ」

『このまま何もしなかったらずっと続くなって思って

誰がこんなことするのかなって仕事が終わった後に残って』

西島「見つけたの？相手」

『うん。』

西島「誰？」

『………』

西島「…もしかして、長野？」

『えっ、知ってたの？』

西島「やっぱり。」

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