近くて遠い《2》 (ページ27)

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P.74～sakura side～ページ27

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西島さんとゆっくり話してもらおうと

重岡さんも空気を読んでくれて私らは帰ることになった。

咲良「びっくり、まさか西島さんに掴みかかるとは」

小瀧「あー、自分でもびっくりしたわ。」

「あの！」

後ろから声がして振り返ると、病室にいたはずの西島さんが立っていた。

咲良「西島さん？」

重岡「小瀧～、先行ってタクシー拾っとくで」

小瀧「おん。頼むわ」

咲良「あの、どうかしたんですか？」

私がそう声を掛けてるのに無視して望くんに近寄っていく。

え、もしかしてまた揉める？

西島「望くん、だったよね？」

小瀧「…はい、そうですけど」

西島「さっき言われたこと、本当にその通りだと思う。」

小瀧「え？」

隼人「……俺、Aちゃんが好きです」

小瀧「……」

突然Aに対する気持ちを望くんに告白する。

それを聞いた望くんは何とも言えない複雑そうな顔をした。

西島「上司としても、男としても失格だよね。

彼女があんな風になるまで気付かないなんて。

…まだ理由をちゃんと聞いてないけど

Aちゃんが悩んでることは必ず俺が解決します。

俺が必ず…Aちゃんを守ります」

咲良「……」

"本当にすみませんでした"なんて頭を下げる西島さんに望くんがゆっくりと口を開いた。

小瀧「あいつ。

……昔っから溜め込むんすよ。

普段ペラペラしょうもない話はしてくるくせに肝心な事言わへんくて。

こっちが気付いて寄り添ってやらんと何も話さないんですわ」

西島「はい」

小瀧「あいつとは長いから顔見たら分かります。

無理して笑ってんのも、何かに悩んでんのも怖いくらいすぐ気付きます。

でも、今側におるんは俺やないから。」

咲良「……」

小瀧「さっきは興奮して掴みかかったりしてすんませんでした。

……あいつの事、ちゃんと見たって下さい。

辛そうな事しとったら寄り添ったって下さい。

悩んでる顔しとったら強引にでも聞き出したって下さい。

ちゃんと…守ったって下さい。

難しいやつやけど、ほんまええ奴なんで、よろしくお願いします」

そう言って頭を下げた望くん。

小瀧「じゃあ、俺はこれで」

私も軽く西島さんに会釈をして、西島さんに背を向け歩いていく望くんの後を追った。

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