近くて遠い《2》

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七瀬「強がってたのは分かってたよ？

無理して笑って、心にもない事言ってるって気付いてた。

いっそのこと、一発殴って怒鳴り散らかしでもしてくれたら

悪者貫けたのにさ、無理してまで応援するって言わたら

すっごくAに対して申し訳ないって罪悪感が生まれてちゃったよね」





『……うん』





七瀬「望はその時から芸能活動してて東京に行くって言ってたし

私は地元に残ってヘアスタイリスト目指そうとしてて

どの道、お互い離れ離れになる事は決まってた。

それに、もうその頃にはAに対する罪悪感で苦しくて解放されたくて

だったら別れちゃえって思ったの。」





『………』





七瀬「こんな事言っても信じてもらえないだろうけど

望と幼馴染みのAはこれからも望との関係は続くだろうし

今度こそ望と良い関係になれるようにって思ってた」





『……なにそれ。信じられへん。』





七瀬「そうだよね。

結果、親友も望も傷つけてすっごい後悔した。

何してんだろ、私って。」





『……なんで、』





七瀬「ん？」





『なんで、今更望のとこ戻って来たん？』





七瀬「……ヘアスタイリストになって東京に上京して

初めて受けた仕事が、芸能人のスタイリングのお仕事だった。」






なるほど、それで望と再会したのか。






七瀬「最初は望と全然接点なかったんだけど

望たちの専属ヘアスタイリストさんが私の知り合いで

たまたまお願いされて、望と再会した。」





『罪悪感あって別れたくせに、より戻すんやね』





七瀬「そうだよね、親友も望も傷付けたくせに

数年越しにまた同じことしてるって本当ありえないよね。

けどね？大人になって望と再会して

ご飯行ったり、映画見たり、学生の頃は出来なかった事を一緒にしてたら

私やっぱり望のこと好きだって思ったの」





『ずるいよ、ずるい、そんなん……。

七瀬と別れてから望がどんだけ荒れたか知ってるん！？

仕事は行かへんし、ご飯は食べへん。

少し気の障るような事すれば怒鳴り散らして…

それでも私は側におった！

私が側におらんとダメなんやって思うたから。

………私がずっと望の側におったんよ？』






初めて七瀬に対し爆発させた感情。


色んな事が蘇って来て涙が溢れて止まらない。









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