貴方のために出来ること part.19【名探偵コナン】

809, ページ34

〈んな余裕無かったわ〉


その言葉を聞けば、そだな。って納得してピタリと動きが止まった。つーか言いたいことはそれだけじゃない。


『ちょっとぉー！勝手にプレゼントするとか言わないでくれない？』


〈しつけーことこの上ねぇから、プレゼント(それ)で大人しくしてろって意味合いだ〉


『……言い方が、ミケブチに対してと変わんねぇ……』


呆れの気持ちと共に、ポンっと半獣を解いた。


梅ちゃんの気持ちは分からなくもないけど、バーボンを躾けられるとは思えない。そんなに簡単だったなら、過去の私はあんなに苦労してないはずだから。


〈まあそういうこったから。なんか用意してくれ〉


『情報は湧いて出てくるもんじゃ無いんだぞ！！しかもクリスマスプレゼントってことは一日もないじゃん！』


〈お前ならやれる。頑張れ〉


『バカヤロォォー……！！』


─
──
───


ということがあり、クリスマスの欠片もないことをやっているのだ。


さっさと面倒ごとなんか終わらせて、ケーキとシチューと七面鳥をお腹にいれなければっ！


……という気持ちでいるのに、誘惑して来る人がいるの。それは


〈クリスマス用にって二ヶ月前から予約してたケーキだよ〜。
遠〜いアメリカに行っちゃったAのお腹に納められなくて悲しいぁ〜……。
みんなで持ち寄って用意したのに〜……。

でも食べないってのは勿体無いから俺達で食べちゃうから！
悔しかったら戻ってこい！明日までなら待っててあげる！！〉


という萩原さんからの無茶振りを含めたメールだ。


メールと共に送られてきた一枚の写メ。ケータイの画面に映るケーキの写真であるにも関わらず、めっちゃ唆られるほどに飾り立てられたデコレーション。


イチゴたっぷりだし。サンタさんやトナカイの砂糖菓子。
雪に見立てた粉砂糖がふんだんにかけられてるし。
もみの木やリボンといった飾りは、大抵プラで作られているのに全てアメ細工だという。
しかもケーキ自体がデカイ。恐らく７号はある。


『ぐぅ……！こんなんっ！こんなんで釣るなんてぇ〜っ！ひどいよぉぉぉ〜……！！』


うわぁぁぁん……！って喚きながらキーボードを叩きまくる。


『これも全てバーボンのせいだぁぁぁぁ……！！』


……とか人のせいにしているが、ケーキを食べられなくなった理由は誰にも言わず渡米した私が原因。でも都合の悪いことは人のせいにする方が気が楽である。だから問題はない。


.

810,→←808,

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す