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ヒュッ!と静かな道場内に風を切るような音が鳴り、一拍の間が開いた後、荒い息を吐き出す音がする。
「ハァーッ……、ハァーッ……、あ゛ー!クソッ!速ぇな。小せぇくせに」
『一言余計だからね』
人体の急所である心臓へと向けた木製短刀で、ツンッ!と胸を突っついてから引っ込めた。
私は今、悟くんと訓練をしてるんだ。悟くんの方から手合わせを頼んできたのよ。悟くんは術式無しで私は獲物持ちだ。ハンデとかじゃないよ。つい先日、死にかけたから。
一般人ですら、ほんのちょっとは持っている呪力。だけど悟くんが相手した人は、呪力が全く無いという稀有な人だったらしいよ。
その変わりに天与呪縛のフィジカルギフテッド持ちだったそうだ。呪力は読めないわ、動きは速すぎるわでボロボロにされちゃったと。……その人に狙撃の腕が無くて良かった、って本気で思ったよ……。
今後の為、似たようなことがあったら対応出来るよう、今から慣れておきたいそうだ。そんな稀有な人がうじゃうじゃいたら困るわ……。
「……呪力が読めるお前相手でも手古摺ってたら話になんねぇ」
『そーだねー。本気じゃないしね』
「は?」
今、なんて言った?って顔をしている悟くんへ、めっちゃ爽やかだろう笑顔と共に親指を立て
『もう一段階スピードアップ出来るよ!』
って言っといた。
「ウソだろ……?」
『ホントホント!』
だって呼吸使ってないもんって内心で言葉を追加する。怪訝な目を向けて来ることから信じてないことが分かり、仕方ねーなーって息を大きく吸ったら、悟くんの背後へ回り込んで、首元へ木製短刀を突き付けてやった。
『動けそう?』
「…………」
『あは。頑張ろーねー?』
天与呪縛持ちだった人がどれほどの身体能力を持っていたかは分かんないけど、私が悟くんの役に立てるのなら、やれることがある限り付き合ってあげようと思ってる。
「……なぁ?」
『なに?』
「お前の弱点は?」
『……弱点を自ら言うやつなんて居ないよ?』
悔しがってることは伝わってるけど、なりふり構わな過ぎでしょ……って呆れるしかない。
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雪丗(プロフ) - 有紀さん» 有紀様、いつもお読み頂いてありがとうございます(*^^*)相変わらずの遅筆で申し訳ないです(>_<)またチマチマと書き進めて行きますので、更新再開した際にはよろしくお願い致しますm(__)m (2021年12月19日 23時) (レス) id: a83da031ca (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - いつも更新楽しみにしていました(*´꒳`*)続きがとっても気になりますが、過去作品読み返しながら待ってますね!これからも頑張ってください╰(*´︶`*)╯♡ (2021年12月19日 20時) (レス) @page48 id: 6e9316e3b7 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 寝子さん» 寝子様、いつもありがとうございます!励みになっております(*^^*)これからも今作品共々、よろしくお願い致しますm(__)m (2021年10月9日 10時) (レス) id: a83da031ca (このIDを非表示/違反報告)
寝子(プロフ) - 続編移行おめでとうございます。いつも楽しみにしています。これからもがんばってください!(≧▽≦) (2021年10月8日 23時) (レス) id: 031b8fe371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2021年10月8日 10時