今、やれることをやる 二【呪術廻戦】

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消えていく姿を確認していれば「神谷！！」と恵くんに呼ばれ出入り口へ飛び込む。すかさずワンちゃんが

「アオオオオオン！！」

と施設内にいる悠仁くんへと合図を送った。








怪我を負って気を失っている野薔薇ちゃんを後部座席に寝かせ、左腕と肋を骨折している私は助手席に座って、伊地知さんの車で離脱することになった。でも恵くんは残ると。

「もしもの時、俺にはアイツを始末する責任があります」

悠仁くんの秘匿処刑を悟くんが待ったを掛けたのは、恵くんのお願いからだ。

『私も残』
「ダメだ。お前限界だろ」

左腕がちょっと痛いだけです。その痛みのお陰で肋は痛くありません。……ただ単に麻痺ってるとも言うけど。

じっと恵くんに見つめられたので、外したシートベルトを大人しく掛けなおす。

「お二人を病院へ送り届けたあと、私もなるべく早く戻ります」
「いや。もう伊地知さんが居てもあんまり意味ないので、戻ってくる時は一級以上の術師と一緒にお願いします。まぁ居ないだろうけど」

恵くん……貴方容赦ないな……。意味ないって言ったよ。バッサリ切り捨てたよ。言葉の刃鋭いな。

「……努力致します。では……」

恵くんの言葉にダメージを受けながらも、返答し、車を発進させた伊地知さん。頑張れって心の中で応援の言葉を掛けてあげるしか出来なかった。








車を走らせてからほんの数分、嫌な気配を感じて窓から顔を出す。

「神谷さん？危ないですよ」

という伊地知さんの注意を流して後方を見続けていれば、木々より上空に現れた一本の長い物体。その先には人の姿に見えなくもない物体。それと空を飛ぶ大きな鳥。

それが何かを理解した私はシートベルトを外してドアハンドルへ手を置き

『伊地知さん。すみません。やっぱり戻ります』
「はっ！？ちょっと待っ！？」

伊地知さんから制止の声を聞かず、ドアを開けて車から飛び降りた。

最速で道路を駆け抜けて屋根へと飛びあがる。すると空高くへぶっ飛んでいく黒い塊。恵くんだ。

恵くんを追うものは悠仁くんのように見える。助けに行った……ようには見えない。攻撃体勢に入ってるから。

『宿儺か……！』

恵くんは建物の屋根へ蹴り飛ばされ、転がった先に回り込んだ宿儺に殴り飛ばれて、工場のような建物に突っ込んでいった。工場を突き破り貫通した先には、恵くんの式神らしき鳥。

恵くんをキャッチし、その場を離れようとしたのを確認したけど宿儺の方が速い。ビルへと叩き付けるような軌道で飛んでいった恵くんの姿に奥歯を噛み締める。


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