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アスティから怪我の経緯を聞くと、突っ込んできた車を避けたが、躓き外壁に額を打ち付けたと。
彼女の命を狙った者の犯行か?情報屋Segretoであることは公になってない。なら組織の者として狙われたか。……チェシャ猫か?だがヤツがアスティを狙うと宣言してからかなり経つ。一度も仕掛けて来なかったのに今更やるか?
考えていてもわからないので直接彼女に聞いてみる。
目撃者や防犯カメラの有無。相手の運転手の顔、車の車種、ナンバープレートなど。だがわからないもしくはないとのことで、まったく手掛かりがない。
(相手を見つけるのは諦めるしかないか……)
不運を嘆くべきか、これぐらいの傷で済んだことに喜ぶべきか悩むところだな……。
ちゃんと手当てをしようと声を掛け、手を引きながらリビングへ移動する。ソファに向かい合うように並び、テーブルの上に置いてあった救急箱に手を伸ばす。
「痛かったら言ってくださいね?」
『はい……』
――あと少しで手当てが終わる頃、不意に俺の方へ手を伸ばしてくる彼女。
「どうかしましたか?」
何も答えない彼女の指が、俺の頬に軽く触れる。すると
『……ごめんなさい』
と、いきなり謝られた。何に対しての謝罪なのかわからず、本人に聞こうと口を開こうとしたら彼女の目に涙が浮かんでいく。
「っ!?痛かったですか!?」
聞いても首を横に振るだけで声に出さない。彼女が顔を伏せる時、一筋の涙が頬に流れるのが見えた。その様子に息を飲む。
俺は彼女の腰を引き寄せて抱き締めた。
『……何ですか?』
「大丈夫です」
『ぇ……?』
「前に言ったでしょう?“僕が守ってあげます”って」
落ち着かせるようにアスティの背中をポンポンと叩いていると、彼女の手が俺のシャツを握り締める。声を出すことは無かったが、小さな嗚咽が耳につく。
大抵の事はのらりくらりと躱す彼女。ここまで弱った姿は初めて見た。慣れないものを見て、命を狙われてと、1日で精神的な負担が大き過ぎたのかもしれない。
彼女には悪いが弱っているからこそ、付け入る隙が出来る。俺の為、強いては日本のために、貴女の能力を最大限利用させてもらう。
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雪丗(プロフ) - ベルモットさん» 本当のところ??ベルモットが感じ取った通り、彼女が思い描いたのは愛しい人の姿です。なので慈愛に満ちた目という表現は間違ってないかと思います。 (2019年6月19日 10時) (レス) id: a6201812ee (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - そうですか。解りました。夢主人公は慈愛とベルモットは言ってましたが、本当のところはどうですか? (2019年6月19日 0時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - ベルモットさん» 夢主とジンの関係は仕事仲間です。肉体関係には至らないでしょう。夢主がジンと致す理由がありませんし、逆にジンが彼女を襲おうものなら返り討ちにあい、彼の人生はそこで終了という未来しか見えないので書けません。 (2019年6月17日 23時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 夢小説読みました。夢主人公が黒の組織絡みで結構タイプでした。夢主人公とジンの関係や肉体関係も良かったら見たいです。 (2019年6月17日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 柚月さん» コメントありがとうございます。これからどうなっていくのかはネタバレになるので言えませんが、続きを待っていてくださる読者様が楽しんで読んで頂けるよう、最善を尽くしていきたいと思います。 (2018年5月17日 0時) (レス) id: a6201812ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年5月12日 18時