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「入間っくーん!おじいちゃんだよー!」
と明るい声が魔イクを通して講堂へ広がる。静かだった講堂がざわめき立つ。先ほどまでハートを飛ばしていたフィリアも、
『(おじいちゃん?……ということは理事長先生のお孫さんが?)』
と僅かながらに興味を示した。だが理事長の
「実は孫が入学しましてね。これがもう可愛くて可愛くて」
という言葉から始まり、壇上でがさごそと取り出したのは
「そんな孫と撮った一枚がこれです」
ダァン!と打ち付けるように壇上へ出したのは、入学式と書かれた立て看板の前に立つ二人の姿が写った拡大写真。ノリよくポーズをして写る一人は理事長。縮こまって遠慮気味に写るのが孫だろう。
「後ほど配布します」
と真剣な声音で言い切った。そして
「言いたいこと言ったから終わりー」
……有難いお言葉のはずが孫自慢で終わった。壇上から降りていく理事長の姿を見たフィリアは
『(あ、はい。ご苦労様でした)』
と内心で言葉を返している。理事長の行動も自由だが、フィリアの心内もすこぶる自由。さすが悪魔。
──滞りなく進んだ……ような気がする入学式は終了。講堂を出たフィリアは上機嫌に廊下を進む。
『(はーっ……カッコよかったぁー♡入学式程度では、あの人を堪能出来たりなんてしないけど。これから同じ学校に通うんだから会う機会は増えるし!それにお話する機会も増えるよね!そして最終的には……)うふふふふふ……』
妄想膨らむフィリアの脳内。たまたま彼女の側を通った悪魔達からしたら、いきなり笑い出したフィリアを見て
「いきなり笑い出したぞ……」
「やべぇな……」
「見た目は悪くねぇのに……」
そう。フィリアの見目は悪くない。健康的な肌の色、切れ長の青い目にぷっくりとした赤い唇。桃色の頬。全体的に整った顔形である。
顔だけでなく、制服からスラッと伸びた手足。くびれている所は引き締まり、膨らむ所は程よく出ているという女性特有の体つきだ。なのだが……
『ふふふふふ……』
「……これが残念美人ってやつか」
「「「なるほど。これが残念美人……残念すぎる……」」」
一部の生徒から【残念美人】という評価を受けた。ただ、そんなものに本人は気付くことはない____。
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雪丗(プロフ) - ちこりぃさん» ありがとうございます(^^)そう言って頂けますと、この作品も報われます(*^^*) (2021年7月20日 10時) (レス) id: fa8523d4cc (このIDを非表示/違反報告)
ちこりぃ - …いや普通におもろいですやん (2021年7月19日 23時) (レス) id: 8ef3002cf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2020年8月6日 21時