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「ンロォォリィーングゥーー!」
と奇声を上げながらボールのように転がり、廊下の壁際に積まれていた荷物へ飛び込んでいった。その勢いにフィリア達へと飛んだ段ボールは、アスモデウスが叩き落とし全員無事である。
「ちょ……だ、大丈夫……?」
入間が転がって行った人物へ声を掛けると、ガバッ!と両手を上げ「ストラーイク!!あっはははは!」と笑う女子が姿を表した。
『……あの子は』
「女の子?……あの!」
「行けません!入間様!話しかけては……」
「え?」
入間が話しかけた瞬間に、荷物から飛び出して来た者は詰め寄り
「あたしクララ!右足がコナーで左足がマーフ!使い魔はファルファル!あんね!教材取ろうとしたの!でも勢い余って突っ込んじゃった!物が積んであるとバコーンてやりたくならない?なるよね!あっ飴あげる!もっかいやるから見てて見てて!」
早口言葉の如く言葉を発した。どこで息継ぎをしているんだ……?
彼女の名前はウァラク・クララ。
フィリア達と同じ1年。緑色の髪に羊のような角を持ち、大きくてぱっちりとした緑色の目を持つ可愛らしい女の子の悪魔である。ただ少し性格に難がある為、浮いている存在だ。
歌いながら段ボールを積み直すクララに、唖然としているフィリア達。そこに「こらー!積むな積むな!」と教師が注意するように駆けてきた。
クララを止めようとしている教師と、自分の心の赴くままに自由に行動するクララの格闘を眺めつつ、アスモデウスは小声で入間に話し掛ける。
「ウァラク・クララ。かなりの変人と有名です。懐かれると面倒なので、皆、近付きません」
「皆って……」
『見て見ぬふりしている人が多いそうですよ』
「そ、そうなんだ……」
コソコソと内緒話をしていれば、教師が入間達に気付き「入間君にアスモデウス君だったね」と笑顔を向ける。
名前を知ったクララは「入間!アスモデウス!」と復唱。そして
「あとは任せた!」
と教師の立てた左手の人差し指が光る。その瞬間フィリアを抜いた三人は宙を飛び、ロープでぐるぐる巻きにされ、「それ!」という掛け声と共に飛んで行ってしまった。
「フィリアー!?」
「なぜあいつだけ!?」
『えーっと……、ガンバでーす』
入間達に手を振っているだけのフィリアだった。
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雪丗(プロフ) - ちこりぃさん» ありがとうございます(^^)そう言って頂けますと、この作品も報われます(*^^*) (2021年7月20日 10時) (レス) id: fa8523d4cc (このIDを非表示/違反報告)
ちこりぃ - …いや普通におもろいですやん (2021年7月19日 23時) (レス) id: 8ef3002cf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2020年8月6日 21時