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そう言いながら右手をAの肩から離し、足元を指差す梅原。その先へと顔を向けた彼女の視界に入ったのは、いつの間にか復活していたミケブチと、二人の中間に置かれた松茸の入った籠。


Aが地面に置いた籠は、二人から数m程離れたところに置き去りにされていた。だが二匹が協力して引き摺りながら運んで来ていたのだ。折角採ったのに置いていくなと言わんばかりに。


いくら松茸と言えど、50個以上も入った籠。猫には大分重労働だったのだろう。今は二匹ともに腰を下ろして休憩している。だが


『……また変なとこに座ってんね』


「あぁ……、お陰で動けねぇ……」


梅原の足の甲に座っているのだ。片足に一匹ずつ。一歩でも足を踏み出せば、蹴りあげたような気分になるだろう。何という嫌がらせ。当の猫たちは顔を上げながら、なにー?どうかしたー?と言っているような無邪気そうな表情。こいつら策士だ。


梅原もミケブチも、先程までは彼女へ恐怖を向けていた。だが既にけろっとした態度の猫たちと、普段と変わらない軽口を言う梅原。そんな彼らを見れば、Aは純粋な疑問をぶつけたくなる。ミケブチの行動を見て、数秒前は普段通り返してしまっていたが


『……さ、さっきは怖いって言ったのに、今は猫に見えるって……へ、変なこと言ってる、よ……?』


僅かに震えている小さい声。梅原の、猫で例えた言葉は当たらずとも遠からずといったところだろう。


彼女は自身の生まれや見た目、それと体質が、他の者と違って異質であることを理解している。そのため警戒心が強く、他人と距離を取ることが日常。だが心を許すものも存在する。赤井秀一を筆頭に数人……いや、今ではその数も増えたか。それでも彼女は、常に一線を引いたところにいる。


その理由は……恐怖。


好いた者や心を許した者に拒絶されることを恐れているのだ。だから色の違う目を隠す。猫の姿ならまだしも人の姿では余計に目立ってしまうからと。一度引いた線を越えることは勇気がいる。なかなか踏ん切りが付かず、未だに尻込みをしているというのが彼女の現状だ。


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設定タグ:名探偵コナン , トリップ , 赤井秀一   
作品ジャンル:アニメ
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雪丗(プロフ) - kangarooさん» そうです(^^)その理解で大丈夫です! (6月1日 0時) (レス) id: 3aa07c1458 (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 雪丗さん» お返事ありがとうございます!!夢主ちゃんが目をつけた黒いバイクはSegreto用に梅ちゃんが乗っている、という理解で大丈夫でしょうか .. ?何度もスミマセン(汗) (5月31日 21時) (レス) @page44 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - kangarooさん» ご質問頂いた梅ちゃんのバイクの件ですが、崖から落ちて爆発したことで廃車→片山(モブ)さんの厚意で新車をゲットしました!サイドカーに関しては、神谷が後払いにて購入→ミケブチに奪取される。という流れになります。また不明点等ありましたら御連絡ください(^^) (5月31日 17時) (レス) id: 3aa07c1458 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - kangarooさん» お返事が遅くなり申し訳ありません。今作品をお読み頂きありがとうございます。梅ちゃんファンが増えて口角が緩んでます。によによです(笑) (5月31日 17時) (レス) id: 3aa07c1458 (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 嬉しいです!ちなみに私も梅ちゃん大好きです。数少ないツッコミ役ですね。お疲れさまです、合掌。 (5月22日 21時) (レス) id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪丗 | 作成日時:2019年8月22日 12時

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