貴方のために出来ること〜もう一つの未来へ〜 【名探偵コナン】

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Aside


(……だ、れ？)


名を呼ばれた気がして意識が少しだけ浮上する。でも体は動かないし、目も開けられない。このままずっと寝てても良いんじゃないかと思っていたら、左手に暖かい温もりを感じた。


何となく知っているような温もりに、何処か安心する。離したくなくて、力の入らない手に無理矢理命令をする。


(……離さないで、このまま……)


握っていて欲しくて、僅かに動く指先に力を込めた。


「っ！……チェシャ!?」


この声は……


『お…にい…さ……？』


「そうだ、今病院に向かってる！気をしっかり持ってろ！」


『……ん』



口を動かすのも怠くて弱々しく返事をしたら、手を強く握られる。何とか目を開けて、視線を自分の左手に持っていくと、大きな手に包まれていた。


左手に感じた温もりは秀一の手だった。安心するのは当たり前だなと、朦朧とする意識で思う。


何とか顔を秀一の方へ向け、彼を見る。私の視線に気付いたのか、バックミラー越しに問い掛けてきた。


「どうした？」


『おに、…さん……ケガ、…は？』


「問題ない」


『か、……らんしゃ……』


「お前のお陰で止まったよ。怪我人はいるが死人はいないそうだ」


『そ…か』


“良かった”と安堵する。目を瞑りそうになると、声を掛けられた。


「チェシャ！」


『……ん』


「すぐ着く、しっかりしろ！」


『……ん』


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