傷跡 (ページ9)

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海人side

化学の実験中

Aのいるテーブルから

一瞬だけ大きな炎があがった

その瞬間俺は先生の声や騒いでるみんなを無視して

すぐさまAのもとへ駆け寄った

Aを見た瞬間

やっぱり無理にでも一緒のグループになれば良かった

もっとちゃんと気をつけて見ておけばよかった

そう後悔した

Aの震えている手を取って

すぐ教室から抜け出した

教室から出るとAは

膝から崩れ落ちた

ごめん、A…

Aの笑顔守るって決めたのに

こんな顔させて辛い思いさせて

動けないAを保健室に連れて行って

安心して寝れるまでそばにいた

それから岸くんに連絡して

Aを迎えに来てもらった

岸「おう、海人。Aは？」

海「今、寝てるよ」

岸「そっか…じゃあ起きたら連れて帰るから」

岸くんも大変なのに

また迷惑かけちゃったな…

海「ごめん、岸くん…」

岸「何が？」

海「何がって…岸くんも忙しいのに迷惑かけちゃって」

そう言うと岸くんは「馬鹿だな、海人」と笑った

岸「家族なんだから迷惑かけろよ」

海「えっ…」

岸「我慢されるより迷惑かけられる方がよっぽどマシ」

そう言うと俺の頭を

「いつの間にか俺よりでかくなりやがって」

と言いながらぐしゃぐしゃにした

海「もう！ぐちゃぐちゃ！…でも、ありがとう」

岸「あははっ、おう！」

抜けてるところが多い岸くんだけど

そんな岸くんに俺は支えられてる

岸くんのところに来てよかった

改めてそう思えた

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