オレンジの世界。

ノート貸して4 ページ24

『(人2)さん』

「…ふ、藤ヶ谷くん？どうしたの？」

『これ、ノート。ありがとう』

横尾くんに貸したノートは

藤ヶ谷くん経由で戻ってきた

あ、そういえば藤ヶ谷くんにも

見せていい？って聞かれたんだっけ…

横尾くん、何か用事だったのかな？

別にいつでもいいんだけど…

何ヶ月に1度かの横尾くんとの

やりとりだったから

藤ヶ谷くんに失礼だと分かっていても

やっぱりちょっと残念

『あ、そうだ…わたがね〜』

「よ、横尾くんが？」

他の人と横尾くんの話するの

初めてかも

『今度、ノートの取り方教えて

ほしいって言ってたよ』

「…え？ほんとに？」

横尾くんが…私と、お話したいって

近くで目見て会話したいって

夢みたい

想像すると

一気に顔に熱が集まる

『じゃあ、、』

「う、うん…

いいよって言っといてくれるかな？」

頷いてチラチラと手振って

教室を出ていく

ば、バレたかな…

…
『な？言ったろ？』

すぐにわたの元に駆け寄って

コントロールが効かない口角をそのままに

「いや、でも…俺って訳じゃ」

『はぁ？会話の内容聞こえてただろ？

わたの名前出した瞬間、

明らかに変わったじゃん』

どこまで鈍感なんだろう

「うーん」

(人2)さんが可哀想

『あっ、そうだ。

聞いてただろ？

教えてもらいなよ』

「…あっ、あれは太輔が勝手に！」

いいから、今度は意識して話してみなよ

って言うと思いっきり睨まれた

…
また次の理科室での授業

「あの、(人2)さん」

あの、なんて初めて使ったかも

「あ、横尾くん…ごめんね！私、また…」

焦ってノート、シャーペン、消しゴム

しまい出す(人2)さん

「あ、いいよ…太輔から聞いた？

ノートの」

ピタッと止まると一旦座って

私で…良ければって

耳済まさないと聞こえないような

音量で言った

(人2)さんは元々大人しめな子だから

俺に対して特別な態度なのか

分からない

太輔はまた鈍感って言うかな

太輔は告られたことあるだろうけど

俺、ないもん。

女の子が恋してる相手にどんな態度に

なるかなんて知らない

でもそのあたふたしてる

(人2)さん、ちょっと面白いなって

もっと見たいかもって

これは意地悪かな

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