オレンジの世界。

ノート貸して3 ページ23

『ほら、わた！ご飯食べないと！

昼休み終わっちゃう！』

「…えっ、ちょ、太輔…！」

強引に太輔に連れて行かれそうになる

「…ごめっ、(人2)さん！鍵っ」

「…あ、うん。いいよ、返しとく…」

チャリッと音を立てて

机に置かれる。

んだよ、太輔…慌ただしいな…

にしても…

(人2)さん笑ったの初めて見たかも

早口でまくし立てて最後に

ニッと(人2)さんに笑ってみせて

それに釣られて笑ってた

俺の方が話してると思うんだけどなぁ…

太輔ってやっぱすげぇ

そんなことを思いながら

手に入れた菓子パンに

かぶりつく

『ねぇ、わたってさ…』

「ん？」

『もしかして、(人2)さんのこと

…好きなの？』

「…はぁ？」

飛び抜けた質問にびっくりする

それなら悪いことしたなぁ…って呟く

「…べっ、別に？

好きとか、そういうことじゃ…」

『んー？怪しいなぁ渉さん？』

なんだよ、どこでそう思った？

(人2)さんはただノート

借りに行ってるだけ…だし

ニヤニヤする太輔

「怪しくなんかねぇよ

ただのクラスメイト

さっきのはノート、いつも借りてるから

ちょっと話し込んでただけで」

っていうか、俺は置いといて

(人2)さんは太輔のこと好きなんじゃないの？

太輔といるといつも視線感じて

そっち見ると(人2)さんで

そしたら目逸らされて

(人2)さんにノート借りに行く時も

たまに太輔と一緒だと赤くなるし

俺には目合わせてくんないし

(人2)さんが太輔のこと好きなら

俺は邪魔者だ

だから太輔には事実を伝えないと

「好きじゃないよ」

『…そ？』

…

「(人2)さん、ノート貸して！」

太輔を連れてお願いしに行く

「…ど、どうぞ」

「ありがと、…太輔にも見せていい？」

「…へっ？あぁ、い、いいけど…」

ほら、やっぱり

『えっ、マジ？！ありがとう！』

嬉しそうに笑う太輔に

赤くなりながらもニコッと笑う(人2)さん

うん、お似合い

…

2人で借りたノートを机に広げて

お勉強中

『なぁ、やっぱりさ…

わた、(人2)さんのこと好きじゃないの？』

また…？

もう焦れったくて

「(人2)さんは太輔が好きなんだよ」

って教えてあげた

『…は？どこで思ったの？』

「え、いや…」

太輔は鋭いはずなのに

自分のことになると鈍いのか

理由を教えると

『…わたって、鈍感だね』

…？なにが？

本当に分からなくて聞いたら

呆れながら話してくれた

『もう！信じられないなら

今度、返す時俺だけ行くから

わた見てて』

って怒られた

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