オレンジの世界。

すれ違い2 ページ16

朝、目覚めると

いつも通り2人分の朝ごはんを作って

食べて

出勤する前に寝室に立ち寄る。

『昼ごはん作っておいたから

食べる時間あったら食べてね。

今日もお互い頑張ろう〜

A』

枕元に置き手紙

『わた、行ってきます』

ん、と返事をするように眉をしかめる。

…

仕事中も連絡も取れず、

本当にただ寝顔だけを見てここ最近過ごしてる

家に帰ってきてもただいまの返答もなくって

そんな時はいつもテレビでわたを眺める。

一緒に暮らしてる意味、あるのかな

ふと思ってしまう。

なんだか今日は寂しい気持ちが大きい

布団に潜り込んでも考えるのは

未来のことだったり、

わたに会いたい気持ちばかり膨らむ。

『わた…』

気づいたらこっち見て笑ってるわたの画像を

待受にした携帯をぎゅっと握りしめていた

『…わたっ、』

あぁ…ダメだ、泣いちゃダメ。

思えば思うほど反比例して

止まらない涙

いつだったかな

わたと出会えて幸せで

好きが重なった奇跡に感動して

それを知れた時は嬉しくって幸せで

たくさんの幸せくれたのに…

今だって充分幸せなのに

止まらない欲が怖い

泣いてたらわたを困らせちゃう。

これからもこんな事たくさんあるんだから

…

朝。目覚めると

いつものように大きいベッドで

スヤスヤと気持ちよさそうに寝ている彼。

それを見ただけで昨日の寂しさなんて

吹っ飛んでしまう。

重たい瞼に

『あぁ、昨日泣いちゃったんだった…』

バレてないかな

今日はお休みか…

軽めの朝食を作ろうと起き上がった時

…ん？

『置き手紙…？』


なんだろう、初めてだよ…？

…っ、

置き手紙を読んでまた泣いてしまう。

『…っ、ひっく…』

ダメだってば。わたが起きちゃう…

「…A？どしたの？」

『…あ、えっ』

目を必死に擦って

なんでもないよ、おはよう

って笑って見せる。

「…ちゃんと笑えてないから」

ほっぺをむに、と摘むと

フッとゆるく笑う

その久しぶりの笑顔に

止まったと思ったそれは溢れ出して

「…A」

ふわっと包み込まれたわたのスエット濡らす。

温かくって、心地よくって、

優しくって安心感のあるわたの胸。

「…こっちの小さいベッドじゃなくって

あっちの大きいベッドで今日から

寝て待ってて、ね？

Aは気使ってこっちで寝るって

言ってたけど…それ、辛い」

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