オレンジの世界。

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A「男爵とメークイン？なにこれ、じゃがいもの種類…？」




渉「どしたの？」



帽子にだて眼鏡かけた怪しい感じのわたが手に持った牛肉をかごへと入れる。



A「男爵と、メークイン…どっちがいいかな？」


渉「そんなことも分かんねぇのか…」


はぁああぁ…と大きな溜め息。


常識、なの？




渉「肉じゃがだから、メークイン。煮崩れしやすいから」

A「へぇ…」


メークインをかごに入れる。

A「わたはすごいね」

渉「いや、料理してるなら常識だろ」

やっぱり常識なのかぁ…



レジへと行く。


店(店員)「あ、いらっしゃいませ〜今日もスーパーデートですか？」

A「はい！」

なんだか他の人にデートって言われると照れるなぁ……


この人は、スーパーで唯一わたの正体を知っている人。

ほかの店員さんはカップルがスーパーへと来るのも珍しいのに、男のほうは怪しげで不思議に思われている…

店「今日は肉じゃがですか？笑」

かごの中の食材を見ていつも当ててくる店員さん。

渉「そうなんですよ。こいつ、じゃがいもの種類も知らなくって…」

店「あぁ、男爵とメークインですか？でも、よくお客さんに聞かれるんですよ〜。どっちがいいいの？って」

A「常識じゃないんじゃん！もう、わた…」

渉「いや、ある程度料理する人は知らなきゃダメでしょ…」


わたはいつも、ちょっとだけ意地悪。

でも意地悪するときの顔はいつもより楽しそうで。


だから思わず許しちゃう…というか好きな自分がいて悔しい

支払いも終わり、スーパーを出る。

食材を入れたエコ袋をわたしが持とうとしたら



当たり前のように


手が伸びてきて


軽く持ち上げてくれる。

A「ありがとう、わた」

渉「ん〜？Aに持たせると危なかっしいからね」

そんなひねくれたことを言うけれど、

私は照れ隠しだって思ってる。

A「あっ？！」

渉「ん、何？」

A「お茶買うの忘れちゃった…買ってくるね！」

渉「分かった、じゃあ車で待ってるから」

走ってスーパーへと戻る。

あ、あった…！

2リットルのお茶を抱えてレジへと向かう。


さっきとは違う店員さん。


店「あれ？今日はお一人なんですね」

常連並みに来ているこのスーパー。

だけど、いつもはわたと一緒だった。

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