オレンジの世界。

スーパー。 ページ1

今日はわたと買い物デート。


わたは料理好きで私より断然料理が上手…



お仕事でもそれを発揮して、順調みたい



「デート」

と言えば


普通は映画館や遊園地、レストラン…２人で楽しめるところに行くものだけど



私たちはそうも行かない。


何故ならわたは芸能人だから。



渉「ごめん、もっと…デートっぽいことしたいんだけど。」



A「気にしないで。スーパーデートも好きだから！」



車に乗り込むとき、わたが申し訳なさそうに言う



私は、わたを好きになったときからそんなの覚悟してるし、わたがいればデートはデートだし…何より、デートスポットと呼ばれる場所に行ってスキャンダルされるのが嫌。





いつも通り後部座席に乗る。



普通だったら、助手席が当たり前…



でも、これもわたのため。




渉「A」



A「ん？」




渉「夜、何食べたい？」



A「う〜ん…」



わたの料理はもう一通り食べたしなぁ…


外食なんて行けないから、家でご飯食べることが多かったから



わたが料理して私はお手伝い…して。



でもそんな光景は、夫婦みたいですっごく好き



そんなことを考えて１人でニヤニヤしていると


渉「何、ニヤニヤしてんの？」

ってミラー越しに目があって



いつもの意地悪顔で見てくる。



こうやって会話するのはもう馴れた。




安全運転してくれる傍らにチラチラと目を合わせてくれる。




いつも口調は厳しいけれど、そんな小さな優しさがたまらなく好き




渉「あ、俺……





Aが主に作ったご飯食べたいな」



さっきまでの「夜、何食べたい？」という会話を忘れかけていた私はびっくりしてミラーをパッと見る。




A「えっ？私が？！」


渉「うん、食べたい」


A「私…下手くそだよ？」


渉「食べたい。一回も食べたことないじゃん？」


嘘でしょ…



いつも料理サイトにお世話になりっぱなしの私の料理。



美味しい！って自分では思えるけれど、今まで披露した人たちにはそこまで好評を貰ったことがない…



A「料理サイト…頼ってもいい？」


渉「どうぞ」

渉「俺…家庭料理食べたいな」


家庭料理ねぇ……


スマホを取り出してアプリを開く。

家庭料理と検索欄に入れて…


A「あ、肉じゃが…前に作ったことある」

渉「肉じゃが？…いいじゃん」


A「分かった…じゃあ、肉じゃがね」

ちょうど大型のスーパーの駐車場へと車が入る。

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