オルトSIDE ページ24
・・・
兄さんはオンラインの参加もしないって言って、今年はこの女学院に来てないよ。
でもね、その理由僕知ってる。
大好きな姉さんの傍にいるためなんだよ。
って言ってもどうせ姉さんの意志を尊重して、監督生さんに譲ってるんだろうけどね。
あーぁ、みんなに僕の大好きな兄さんと姉さんを紹介したかったのに。
2人で並ぶと本当に綺麗で画になるんだ。
「あれ? レオナ・キングスカラーさんだ。ヴィル・シェーンハイトさんも・・・。会場はそっちじゃないのに」
そういえば、まだペアが決まってない3年生が居るって
女の子達が話してたな・・・。
まさか あの2人のことじゃないよね。
あ、僕はプロムと女学院のデータ収集に尽力するよう兄さんに言われてるから、見てるだけだよ。
「オルト! すまぬが、少し頼まれてくれまいか。お主の義姉のために」
リリア・ヴァンルージュさん。
姉さんのため、という言葉は聞き捨てならない。
「なになに?」
「わしら今から ここを出ていこうと思うのじゃ。行先はオンボロ寮のどこかの鏡」
ふむふむ。
姉さんにプロムの楽しさを知ってもらうべく、
3年生数名が帰るんだって。
そんなの兄さんに任せておけば・・・・・・でも今までちゃんと教えてこなかったしなぁ・・・。
「君にはヴィルの手鏡を守ってほしいのさ」
「ルーク・ハントさん・・・」
「既に設置されてる鏡は足がつくからね。ヴィルの手鏡を経由してこっそりと、ということさ」
ルーク・ハントさんは僕を気遣って一緒に行こうとも言ってくれたけど、実は僕、ダンスが1番苦手なんだ。
生身の人間に唯一勝てない技術だから・・・その・・・。
「いい子にしてます!」
「よい返事じゃ! わかっておろうが、内密に頼む」
「Aに伝言は無いかい?」
僕は咄嗟にUSBメモリを作った。
ここ1週間の様子とプロム会場の情報をそこにアウトプットして。
あとは僕からのメッセージを込めて、リリア・ヴァンルージュさんに渡す。
「わぉ! じゃ。よく短時間で こんなものを用意できる。素晴らしい技術じゃ」
「こっちへおいで」
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作者名:スカフィロ | 作成日時:2021年1月7日 17時