検索窓
今日:3 hit、昨日:18 hit、合計:29,152 hit

ページ4

in side .



「…なん、で…?」

「だって…この綺麗な字、伊野ちゃんでしょ?」

「…!」


カードの表に書いた、その文字だけで分かるくらい…大ちゃんが俺の字を覚えてくれていたなんて、思いもしなかった。


「どうせ毎日話すんだし、直接くれればいいのに〜」

「あっ、待って…!」


カード開かないで、と言う前に、既にそれは大ちゃんの目に入っていて。手遅れだと気づいた時にはもう遅かった。

昨日の夜、震える手で書いた。
たった一言、どうしても言葉にできない気持ち。


「…"大好きです"……」


恥ずかしい。
もういやだ。帰りたい。消えたい。消えてなくなりたい…。

…そんなこと書かなければよかった。
俺の気持ちがバレて嫌われちゃうくらいなら、いっそ一生隠して生きていけばよかったんだ。俺のばか…!!


「伊野ちゃん、」


ビクッ

目にじわじわと涙が溜まるのが分かる。
大ちゃんの前では、泣きたくなかったのに。


「俺も、大好きだよっ!」

「……ぇっ……」

「え、って……"親友"なんだし、大好きに決まってんじゃん!」


大ちゃんのきょとんとした顔を見て、一気に力が抜ける。

…だよね、大ちゃんだもんね…
ほっとしたような、ちょっとガッカリしたような…


「なんか、改めて言葉にすると照れるな〜」

「…そ、だね」

「ね、食べてもいいっ?お腹空いちゃった!」

「うん…いいよ」


…大ちゃんは知ってるのかな。

バレンタインに贈るマカロンには、
「あなたは特別な人です」って意味があるんだよ。

いつか、鈍感な君が気付く時はくるのかな…


「なにこれ、うっっま!!
これ伊野ちゃんが作ったんだよね!?すげーっ!」

「…んふっ、もお、大ちゃん一気に食べ過ぎっ!」


___大ちゃんは彼女を作らない。

理由を聞いたら、「伊野ちゃんと一緒にいる方が楽しいもん!」なんて、屈託のない笑顔でそう言ってた。


…これで良かったのかもしれない。

こんなに喜んでくれて
こんなに美味しそうに食べてくれるなら


例え "親友" としてでも、

君の1番近くにいられるのなら…


「ありがとね、伊野ちゃん!」

「っ…うんっ…!」


今はまだ、このままで……。






リナリアの花言葉 ... " この恋に気づいて "


バレンタインにあげるキャラメルには、「一緒にいると安心する」という意味があるらしいです。大ちゃんがあげたキャラメルと、伊野ちゃんがあげたマカロン…この対比がなんとも切ない感じになってしまいました。ホワイトデーまでには両思いになってくれるといいな、という願いを込めて…

モモ 2→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
162人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にゃるる - 返信ありがとうございます泣泣 新垢待ってますっ!!!またむにこめさんのお話が読める日を楽しみにしております(≧∀≦) (1月13日 23時) (レス) id: 9df1e97525 (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - にゃるるさん» お話気に入っていただいて嬉しいです、ありがとうございます…!アカウント突然消してしまい申し訳ありません。移行先はまだ作っていないので、出来次第お知らせさせていただきますね。ar王子とinも少し加筆修正して載せる予定ですので、もう暫くお待ちくださいm(_ _)m (1月9日 17時) (レス) id: 467faef54a (このIDを非表示/違反報告)
にゃるる - むにこめさんのarin作品大好きです泣 話は変わって申し訳ないのですがTwitterのアカウントが消えてしまったみたいなのですが、移行先のアカウントを教えていただくことは可能ですか?泣 Twitterの方で読んでいた王子arとinのお話もまた読みたくて... (1月3日 2時) (レス) id: 9985c4f555 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:むにこめ | 作成日時:2023年3月19日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。