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「…なん、で…?」
「だって…この綺麗な字、伊野ちゃんでしょ?」
「…!」
カードの表に書いた、その文字だけで分かるくらい…大ちゃんが俺の字を覚えてくれていたなんて、思いもしなかった。
「どうせ毎日話すんだし、直接くれればいいのに〜」
「あっ、待って…!」
カード開かないで、と言う前に、既にそれは大ちゃんの目に入っていて。手遅れだと気づいた時にはもう遅かった。
昨日の夜、震える手で書いた。
たった一言、どうしても言葉にできない気持ち。
「…"大好きです"……」
恥ずかしい。
もういやだ。帰りたい。消えたい。消えてなくなりたい…。
…そんなこと書かなければよかった。
俺の気持ちがバレて嫌われちゃうくらいなら、いっそ一生隠して生きていけばよかったんだ。俺のばか…!!
「伊野ちゃん、」
ビクッ
目にじわじわと涙が溜まるのが分かる。
大ちゃんの前では、泣きたくなかったのに。
「俺も、大好きだよっ!」
「……ぇっ……」
「え、って……"親友"なんだし、大好きに決まってんじゃん!」
大ちゃんのきょとんとした顔を見て、一気に力が抜ける。
…だよね、大ちゃんだもんね…
ほっとしたような、ちょっとガッカリしたような…
「なんか、改めて言葉にすると照れるな〜」
「…そ、だね」
「ね、食べてもいいっ?お腹空いちゃった!」
「うん…いいよ」
…大ちゃんは知ってるのかな。
バレンタインに贈るマカロンには、
「あなたは特別な人です」って意味があるんだよ。
いつか、鈍感な君が気付く時はくるのかな…
「なにこれ、うっっま!!
これ伊野ちゃんが作ったんだよね!?すげーっ!」
「…んふっ、もお、大ちゃん一気に食べ過ぎっ!」
___大ちゃんは彼女を作らない。
理由を聞いたら、「伊野ちゃんと一緒にいる方が楽しいもん!」なんて、屈託のない笑顔でそう言ってた。
…これで良かったのかもしれない。
こんなに喜んでくれて
こんなに美味しそうに食べてくれるなら
例え "親友" としてでも、
君の1番近くにいられるのなら…
「ありがとね、伊野ちゃん!」
「っ…うんっ…!」
今はまだ、このままで……。
リナリアの花言葉 ... " この恋に気づいて "
バレンタインにあげるキャラメルには、「一緒にいると安心する」という意味があるらしいです。大ちゃんがあげたキャラメルと、伊野ちゃんがあげたマカロン…この対比がなんとも切ない感じになってしまいました。ホワイトデーまでには両思いになってくれるといいな、という願いを込めて…
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にゃるる - 返信ありがとうございます泣泣 新垢待ってますっ!!!またむにこめさんのお話が読める日を楽しみにしております(≧∀≦) (1月13日 23時) (レス) id: 9df1e97525 (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - にゃるるさん» お話気に入っていただいて嬉しいです、ありがとうございます…!アカウント突然消してしまい申し訳ありません。移行先はまだ作っていないので、出来次第お知らせさせていただきますね。ar王子とinも少し加筆修正して載せる予定ですので、もう暫くお待ちくださいm(_ _)m (1月9日 17時) (レス) id: 467faef54a (このIDを非表示/違反報告)
にゃるる - むにこめさんのarin作品大好きです泣 話は変わって申し訳ないのですがTwitterのアカウントが消えてしまったみたいなのですが、移行先のアカウントを教えていただくことは可能ですか?泣 Twitterの方で読んでいた王子arとinのお話もまた読みたくて... (1月3日 2時) (レス) id: 9985c4f555 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むにこめ | 作成日時:2023年3月19日 15時