Bouquet. ( ar×in shortstory )

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in side .



本日は大貴様の20歳の誕生日。

有岡家では代々、20歳になると決められた婚約者を言い渡される。


｢いやだ！！結婚なんてしたくないー！｣

｢大貴様、我儘を仰ってはいけませんよ。｣

｢…だって…嫌だよ！…これから一生一緒にいる人を、勝手に決められるなんて…｣


お誕生日パーティーの後、お部屋でそう愚痴を零す大貴様。

…確かにそうだ、こんなにおめでたい日に、いきなり運命を突きつけられるなんて…思いもしなかっただろう。


でもそれは、仕方のないこと。


…それに…俺はただの執事だ。


有岡家のために、大貴様のために…



____自分の感情を押し殺さなければならない。



｢…お相手の…西園寺さつき様と、お話されたのでしょう？いかがでしたか？お綺麗で、気立ての良い方と拝見しましたが…｣


｢…まあ、確かに綺麗だし、優しかったけど…｣


｢これからお会いする機会は沢山あります。焦らず、ゆっくり、お二人のペースで歩まれると良いと思いますよ。｣


顔の筋肉を精一杯動かして、無理矢理笑顔を作った。



……大貴様の幸せが、俺の幸せなんだ______



それから、さつき様は度々この屋敷に出向かれた。あんなに駄々をこねていた大貴様も、次第にさつき様に心を許していき、さつき様もまた同じだった。


…大貴様は、すごい人だ。

初対面の方に対しても気さくで、裏表がなくて、相手の警戒心を解くことが出来る能力を持っているように見える。

それに、あの端正な顔立ち。

…大貴様を好きにならない人なんて、この世にいないのではないかと思う。



中庭をお二人で並んで歩かれる姿が、自室の窓から見えた。
楽しそうに笑うお二人を見て、肩の力が抜ける。


…大丈夫。

あの二人なら、きっと上手くいく。


さつき様ならきっと、きっと…


大貴様を幸せにしてくれるはずだから…



……大貴様を幸せに出来るのは、俺じゃない。




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