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3 冨岡義勇 ページ4

四時間目の授業で分からないことがあったため、待たせるのも悪いと思い、胡蝶様を始めとする一緒にご飯を食べている友達には先に教室に戻って貰った。

さっきまでいた物理室は四階で、教室は二階。しかも、特別教室は別棟にあるため昼休みはほとんど周りに人がいない。つまりは、急ぎたい放題、ショートカットし放題というわけだ。

「よっ、と」

勢いをつけて階段の手すりに手を置き、反対側へと飛び越える。わざわざ一段一段降りていくのは時間がもったいない。耳を澄まして人がいないかどうか探りつつも、最短時間で階段を下り切る。

そのまま一階から本校舎に繋がる、渡り廊下を走っていると、いきなり叱責が飛んでくる。

「そこの三年!校舎内を走るな!」
「は、はい!」

一番まずい人に見つかってしまった。生活指導も請け負っている元水柱の冨岡義勇様、いや、冨岡義勇先生だ。体罰も辞さないその教育指導は、PTAによる非難の的になっているらしい。だが、前世を知っていると、それすら不器用が故の行動ではないのかと思う。理不尽…では無いと思いたい。

「すみません!」

頭を下げつつも、何故こんな時間に外に?という疑問が湧く。顔を上げその姿を目にした時、驚き声が出そうになってしまった。

もしかしていつもこの場所でご飯を食べているんだろうか?

職員室の外付け階段、よく先生方が煙草を吸っている、の最下段で惣菜パンを片手に座っている。体の傍には紙パックの牛乳しか見当たらず、お腹はすいたりしないのだろうか、と心配すら湧いてきた。

「今度から気をつけろ」
「はい!…あの、先生はどうしてこんな所で」

今の季節は風が強い。それに先生の座っている階段はグラウンドに近い。砂埃が立ったりしないのだろうかとシンプルに疑問だった。

「昼食を取っている」

それは見て分かる。

用はそれだけか?と言わんばかりに一心にこちらを見てきて、微かにしか光を通さない黒い瞳が印象的だ。

「あ、ああ、そうなんですね…。寒くないんですか?」
「問題ない」

正直傍から見ると少し寂しげな昼食風景に見えるが、本人が毛ほども気にしていなさそうだし、外野が何か言う資格はないのだろう。そう思いつつ、もう一度頭を下げて先を行こうとすれば、再び呼び止められる。

「中々良い脚力を持っているようだな。剣道部に入らないか?」

どうしてそこで陸上部では無く、剣道部なのだろうと思いつつも丁重にお断りした。




(口下手な教師との話)

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おにゃんこ(プロフ) - コメント失礼します。私この作品大好きです!これからも頑張ってください (2020年2月14日 17時) (レス) id: efb665c293 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハッシュタグ | 作成日時:2019年11月14日 18時

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