忘れてしまった君に焦がれる。【時透無一郎】

38話 ページ38

時が止まったような感覚だった。比喩表現とかじゃなくて、本当に時間が止まっていたんだ。

気づけば口から零れ落ちたその言葉は、君を泣かせるには充分だったみたいで。



Aはみるみる目にいっぱいの涙を貯めて、そして涙に濡れた顔でふにゃりと笑った。

ぽろぽろ、ぽろぽろと瞳から涙が零れた。



「もう二度と、Aを失いたくない。
君と一緒に生きていきたい。
心の底から愛してる。
一生守り抜くって誓うよ。」



そっと指で涙を掬ってあげると、Aは人目もはばからないで俺の背中に腕を回した。

温かい。誰かの温もりがこんなにも愛おしいと思うのは、きっと相手がAだから。



だから、精一杯抱き締め返した。空気の分子すら入り込めないくらい力強く。もう二度と放さないって誓うように。



「私も…無一郎と一緒に生きたい。
よろしくお願い、します…っ！」



幸せだ。こんなにも一瞬一瞬が愛おしく幸せだと思えるのはAがいてくれるから。



蜂蜜を垂らしたような黄金の黄昏時、僕らは共に生きていくと誓い合った。








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「今日のうちに婚姻届出しちゃう？」


「そ、そんなに早くできるわけないでしょ…！」









たくさんの幸せを、ありがとう｡


これから先も、二人で一緒に生きていこうね｡

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