隠の桐島さん 第二幕【鬼滅の刃】

今度こそ絶対に許さん ページ12

和やかな雰囲気は
一瞬にして消え去った…



心臓かドクドクと波打つ



冷や汗がツゥっと額をなぞる








まさか…鬼？




『後藤さん…』




「わかってる…見えたら全速力で町の方へ行け
取り敢えず自分の命のことだけ考えろ」




そっと、気配を消しながら
後ろへ下がる

ひょっとしたらクマかもしれないし…



叫び出したいのをグッと堪えて
私達はゆっくりと茂みから距離をとりはじめた




その時だった






"ガサガサガサッ"




『……ッ』




一際大きな音を立てながら
徐々にこちらは近づくナニカ…


半分涙目になりながらも
後藤さんは決して私を見捨てて逃げなかった


めっちゃへっぴり腰だったけども！









ガサッ___







茂みからゆっくりと顔を出したのは
凶暴なクマでもよだれを垂らした人喰い鬼でもなく









「カァアーッ！！飯！飯！飯ヲヨコセ！！」




『テメェいい加減にしろよ！この馬鹿鴉ぅうう！！』




茂みから現れたのは漆黒の翼をバッサバサと揺らしながら餌をねだる極悪非道な馬鹿鴉だった


ガサガサと茂みの中を物色してたらしく
頭に葉っぱが何枚かくっついていた



こっちがどんな気持ちでいたかも知らずに
此奴はノコノコ餌を強請ってきやがって

今度こそ丸焼きにして食ってやろうかマジで…




『焼いてやるッ…丸焼きにして食ってやるぅうう』




「グァ！？」




「ちょちょッ…落ち着けって！」




素早く鴉の両足を掴み
火を起こした薪の方へ連れて行こうとすると

不覚にも後ろから後藤さんに羽交い締めにされる




何でだ！


何で動物なら何でも許されるんだよこの野郎



人の心臓虐めておいて何の罰も与えられないなんて
理不尽だ！！





羽交い締めにされたことで
自由となった鴉はバッサバサと羽を羽ばたかせたと思ったら


クルリと此方に振り向く





「ハッ！(訳.ざまぁみやがれ)」





『貴様ァ...ッ』






今度あったら唐揚げにしてやるからなァ...




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