隠の桐島さん 第二幕【鬼滅の刃】

夜明けと共に ページ7

「伊之助！動けーッ！煉獄さんの為に動けーッ！！」




炭治郎の叫びと共に
伊之助は弾かれたように走り出す



そう、頸さえ斬って仕舞えば




きっと...




きっとッ！！




だが伊之助が刀を振り上げるのと同時に
上弦の参は地面を大きく踏み跳躍した


両腕を自ら切り捨て宙に逃げたんだ....

頸には折れた炎柱様の日輪刀が引っかかっていた




『そんな......』




あと



あともう少しだったのにッ




冷え切った空気を温めるように
太陽が登り始めていた


その様子を見て鬼は一目散に森へとにげた




「逃げるなぁ！逃げるな卑怯者！」




『たんじろう....』




炭治郎が投げた日輪刀が鬼の胸を抉る



炭治郎の叫びが心に刺さる




「お前らなんかより煉獄さんの方がずっと凄いんだ！強いんだ！煉獄さんは負けてない！誰も死なせなかった！戦い抜いた！お前の負けだ！煉獄さんの勝ちだ！」




『....ッ』




炭治郎の痛烈な叫びに胸が痛んだ




しかし同時に、今の自分が何をすべきか分かった気がした




「君は...」




『喋らないでください...これ以上身体に負担をかけてはいけません』




涙を堪えて必死に応急処置を施した

呼吸による止血が間に合ってない所を包帯でグルグル巻きにする

胡蝶様みたいに本格的な治療をすることはできないが
最低限の処置くらいできる




「もういい...それより竈門少年達の治療を」




『お断りしますッ！！』




炎柱様のお言葉をピシャリとはねつける


この人は自分が一番重症な癖して何を言っているのだろうか






『死なせない...絶対に死なせませんから！！』




「強情だな...」




なんとでも言えばいい


お淑やかさなんて最終選別でとうに捨てた




柱がなんだ



十二鬼月がなんだ



やると決めたら絶対諦めない
もしこの場で死のうものなら地獄の果てまで追いかけてやる

生半可な覚悟でここまで来たわけじゃない
隠として...鬼殺隊として


今度こそこの人を....



炎柱様を救ってみせるんだ

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