君との過去と、君との未来を。 (ページ10)

今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:30,745 hit

10 ページ10

桃「あー、おいし～」

黄「そりゃ良かったよ。」

オムライスを頬張って幸せそうに目を薄める大我を、子どもみたいだなと思いながら眺める。

最近は忙しかったのか、久しぶりに来たからってそんなに急いで食わなくて良いのに。
別にオムライスは逃げねーよ笑

口には出さずに心の中でツッコミながら俺もスプーンを口に運んでいると、大我が向かい合わせに座る俺をじっと見つめる。

桃「こーひはぁ、」

黄「食べながら喋んないの。」

口いっぱいに詰め込んだまま喋ろうとする大我に一言注意すれば、ムッとした顔をしながらも一生懸命静かに咀嚼をする。

可愛げは無いけど案外素直な奴なんだ。
……まぁ頑固な時の方が多いけど。

ゴクンと音を鳴らして口内にある食べ物を全て飲み込んだ大我はようやく口を開いた。

桃「…こーちさぁ、なんかあったの？」

黄「ん？何で？」

桃「疲れた顔してるから。」

黄「え、あぁ…実は昨日の夜さぁ……」

昨晩から今朝にかけての出来事を愚痴混じりに語ると、大我は静かに耳を傾けた。

桃「へー、よくそんな親切な事できるね。
相変わらず世話焼くのが好きだな、まさか他人にまで…」

黄「だってほっとけないでしょー公園のトイレに放置とか無理だよ…」

桃「…悪い奴だったらどうすんの。簡単に他人を家に入れちゃ駄目だよ。」

黄「…何？珍しく心配してくれてんの？」

桃「は！？違うし！」

黄「照れんなって～笑
うん、そうね。気をつけるよ。」

桃「…バカこーち」

顔を赤に染める大我をけらけらと笑ってやると、ギロリと睨まれた。
そんなこんなで食事を終えて後片付けを済ましてだらだらと過ごしていると、携帯の着信音が響いた。

桃「あ、電話だ。……」

スマホを取り出して画面を見ると微かに顔を引き攣らせる大我。

その相手はなんとなく察する事ができる。

黄「…パパ？」

桃「うん、ちょっと出るね。」

桃「ハイ。…今？高地の家だけど。……はい、分かった。じゃあね、」

無感情な返事をして電話を切った途端、そそくさと荷物をまとめた大我は曇った顔のまま立ち上がった。

桃「帰るわ、俺」

黄「おー…送ろうか？」

桃「ううん、迎え来るらしいから。
じゃあありがとね。」

黄「…次は事前に連絡して、チャイム鳴らして入れよ？」

桃「秘密で入るのが楽しいんじゃん？」

黄「この野郎！」

桃「ぶふっ……ハイハイ、じゃあまたね。」

悪戯っぽい笑みを浮かべて手を振って出て行った。