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os「……ちゃんと食べたみたいやな。えらいで。……じゃ、俺は仕事に戻るからゆっくり休んどいてな。」
彼は満足げに笑った後、食器を持って立ち去ろうとする。
僕は咄嵯に彼の服の裾を掴んだ。……これは、引き止めたいからではなく、ただ単に意識が朦朧としだしたからだ。
os「どうしたん?」
どこか驚いたような、けれども張り付けたような声が返ってくる。
os「……まだ食べ足りひんかった?しゃあないなぁ。」
そう言うなり、僕の腕を掴んで無理矢理立たせ、テーブルまで連れていく。
そして、僕を椅子に座らせると、フォークを手に取った。
os「はい、あーん。」
僕はまた食べる真似をし、そして咀しゃくする。
os「ほんま偉いで。ちゃんと言うこと聞けて。」
彼は嬉しそうに笑いながら頭を撫でてきた。
os「……けど、今日はこれで終わりやで。」
そして、また僕にフォークを向ける。
os「はい、あーん……!」
……結局、この日はこれしか食べられなかった。
次の日も同じことをされた。
その次もその次も。
次第に、彼に抵抗しようとしなくなった。
そして、とうとう彼に対して無反応を貫くようになった。
os「……Aちゃん?寝てる?」
僕の顔を覗き込んでくる彼の顔。
もう慣れてしまったのだろうか。
それとも麻痺してしまったのか。
os「……なんで、こんなことしても無視できるん……。」
彼は悲しそうな声色で言う。
『い、いや…。』
思わず声を出すと、やはり演技だったようですぐに笑顔になる。
os「……そっかぁ。よかった!声が出されへん訳やないんやな。」
そして、僕を牢屋に戻すため、椅子を引く。
os「ほら、立ってぇ。」
……この人は本当に何を考えているんだろう。
僕はそんなことを考えながらゆっくりと立ち上がる。
os「よし、じゃ、戻ろか。……あ、忘れ物してたわ。」
そう言い残し、彼は僕の視界から外れる。
すると、急に息苦しくなり、その場に倒れこむ。
そして、必死に立ち上がろうとしたところで意識を失った……。
……目を覚ますとまたあの牢獄。
いっそのことあのとき、意識を失くしたときに、なにもかも失くしてしまえたらよかったのに。しかし、現実はそう甘くはないらしい。
僕の目の前には彼が立っていた。
os「……おはようさん。」
僕は相変わらず無視を決め込んでいる。
すると、彼は僕の方に歩み寄り、そのまま抱きついてくる。
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JYUreホれン(プロフ) - すみません!できました! (2022年7月16日 22時) (レス) id: d6b6edf1e2 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - あ……終わりました!(報告おっそ)有難う御座いました! (2022年6月14日 7時) (レス) id: d04fbe416d (このIDを非表示/違反報告)
モキュさン(プロフ) - フゥ……書き終わりました((報告遅い))皆様の作品も心より楽しみにしております‼️ (2022年6月11日 22時) (レス) id: 2c5e2c02ce (このIDを非表示/違反報告)
JYUreホれン(プロフ) - ありがとうございます! 姉に作れと言っておきました!! (2022年6月11日 20時) (レス) id: d6b6edf1e2 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - JYUreホれンさん» 大丈夫ですよー (2022年6月11日 17時) (レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
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