【d！/短編集】夜が、明けるまで【合作】 (ページ38)

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os「ほら、行くで！」

僕は抵抗したが無駄だった。
そのまま引っ張られるようにして連れていかれる。
ｺﾂｯ……ｺﾂｯ……

os「Aちゃん、おはよう。」

僕は無視した。

os「……返事してくれてもええんちゃうかなぁ……。」

少し寂しげな声色になった気がするが気にしない。
彼は、僕を連れ出して何かするつもりなのか。
それともこのまま放置して餓死させるつもりだろうか。
いや、餓死させるならわざわざここまで来る必要もないはずだ。
ならば一体……？考え事をしているといつの間にか少し明るい部屋にたどり着く。

os「……そろそろご飯の時間やね。」

僕はその言葉を聞き、少し警戒を強める。
しかし、彼はそんなことはお構いなしに僕の手を引いて歩き始める。

着いた先は食堂のようなところだった。
テーブルには二人分の朝食が用意されている。
そして、何故か向かい合う形で座っている僕達。

os「いただきます。」

僕は目の前にある食事をじっと見つめていた。
すると、彼は僕の方を向き、優しく微笑みかけてくる。

os「大丈夫やって。毒とか入ってへんから安心しぃ。」

……確かにそうだが、信用はどうしてもできない。僕が食べなければ、彼はきっと何もせずに去ってくれるだろう。
でも、それでは困るのだ。

os「あーん……」

彼の箸がこちらに向けられた瞬間、僕は勢いよくそれを避ける。

os「ちょっ！？危ないやん！避けんでもええのに……。」

そう言って彼は悲しそうな表情を浮かべるが、それも演技だとわかっていた。

os「はい、じゃあお口開けてぇ……。」

それでも一応従うふりをしてみる。
彼が僕に危害を加える気がないのであればの話だが。

os「……あーん。」

そう言って彼は僕の口に無理やり押し込む。

os「美味しい？」

そう聞かれたが、答えずに飲み込んだ。

os「うん、ええ子やね。……じゃ、俺も食べよっと。」

そう言って再び自分の食事に手をつけ始めた。
僕はそれをぼぉっとして見つめている。

os「Aちゃん？食べへんの？」

そう言われてハッとする。
いけない、完全に油断していた。
慌てて食べるふりをする。

os「ふぅ……。……ごちそうさまでした。」

僕は手を合わせ、食べ終わったことを示す仕草をした。