若し/zm ページ27
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社会とは完全に孤立した場所で育てられたせいか、世の常識というものを知らなかった。
俺は生まれたときからあそこにいて、それ以外の場所は写真の中でしか見たことがなかった。将来軍に配属されるという点を考えれば、きっとそれでよかったのだろう。
そんなふうに育ってきたせいか、俺は初めてあの人に会ったとき「お前、誰?」と初対面にも関わらずタメ口で訊いてしまった。そのとき「元気のよさそうな子ですね」と笑いながら言ったその顔が今でも忘れられない。名前を訊くと、番号はあるけど名前はわからない、と言って、A、という俺が呼ぶためだけの名前を考えてくれた。俺はそれを少しばかり嬉しく思った。
歳は結局訊けなかったからよくわからないが、たぶん俺よりは歳上だったと思う。話し方、笑い方、仕草⋯⋯内面的なものでいえば、どれをとっても俺と同じくらいには見えなかった。
Aは俺の教育係のようなものだった。決まった時間にAのいる部屋へ行き、決まった時間までその部屋でAと話をした。Aとは何度か二人で外に出た。といっても庭だとか屋上だとかそういった敷地内で、門には近づくことすら許されなかった。
ある日、俺はAのところへ死んだ動物の身体を持っていった。その身体は普段よりも重くて、死ぬと俺も重くなるんかな、といったことを考えた。
「⋯どうしたんですか、その子⋯⋯」
俺が部屋に入った途端、Aはひどく驚いた顔でそう訊いてきた。その顔はどこか青ざめていて、何かこわいものでも見たような顔だった。
「庭で見つけて」Aの様子を見て、俺は言葉に詰まった。「⋯持ち上げようとしたら、死んでもうた」
正直に話してしまい、顔を上げるのがこわくて俯いていると、Aが椅子から立ち上がる音がした。俺はとにかくAに嫌われないかということだけが心配で、ぎゅっと唇を噛み締めて目を瞑っていた。
「⋯ゾムさん、手加減の仕方ってわかりますか？」
「え？⋯⋯よく、わからん」
気づけば、Aが目の前に来ていた。俺は戸惑いながらも質問に答えた。
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さくらんぼ双子(プロフ) - ルカさん» 分かります⋯!!神作者様だとやっぱり被っても発想が凄いんですよね⋯!! (2022年10月4日 15時) (
レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 薔薇、すごい被ったのに内容が全然違うの凄い､､！！ (2022年9月21日 23時) (レス) @page30 id: 4cbe8909de (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 闇の塩分さん» 闇の塩分様ありがとうございます！面白かったです。ヤンデレtn氏もいいですね⋯ (2022年8月16日 2時) (レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 若草 翠さん» いえ、そんなことないですよ！読みましたが面白かったです！そしてありがとうございます！ (2022年8月16日 2時) (レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
闇の塩分(プロフ) - 書き終わりました (2022年8月15日 23時) (レス) id: 629d679cbe (このIDを非表示/違反報告)
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