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俺は、Aちゃんの手をさらって離れないようにぎゅっと握った。


こんなにも、はらはらして、不安になるのは初めてだった。


うらさんは、Aちゃんが本気で好きなんだ。


牽制のつもりで、うらさんの前でAちゃんをデートに誘ったが、それは失敗だったのかもしれない。


思わぬ反撃をくらって、俺の心は不安と焦りでいっぱいだった。


うらさんはAちゃんの家で手料理を食べていると言った。


彼女の反応を見る限り、それは1度や2度の話ではなく、しょっちゅうあることなのだろう。


いつだってうらさんは、俺の先を行く。


もしかしたら、このままAちゃんのことも攫っていってしまうのかもしれない。


そう考えたら、心臓を踏みつけられるような息苦しさが俺を襲った。


うらさんのところになんか行かないで欲しい。


俺のことを、もういちど見てほしい。


俺だけにドキドキしてほしい。


彼女の心に近づいて、寄り添って、俺を頼りにして欲しかった。


きっと、うらさんも同じ気持ちなんだろう。


でも、あの様子を見る限り、うらさんはまだAちゃんに告白はしていないように見えた。


うらさんの性格からして、言えないでいるんだろう。


そこが、俺にとっての唯一と言っていい突破口だった。


うらさんが彼女に想いを告げる前に、彼女が盗られてしまう前に、勝負を決めなければならない。


そうしなければ、きっと、俺に勝ち目はなくなってしまう。


うらさんは、Aちゃんと家も近くて、大学もバイトも一緒で、俺なんかよりも一緒にいる時間がずっと長い。


その事実が、俺の焦燥感をさらに煽った。


大丈夫。まだうらさんはAちゃんに何も言っていない。


だから俺はそれまでの間に、Aちゃんをたくさんドキドキさせて、俺のことだけで頭いっぱいになるくらいにしないと。


スーパーに入ると、主婦たちが今日の夕飯を吟味しながらカゴに入れていた。


俺は空いている方の手でレジカゴを持つと


「なに買うん?」


とAちゃんに聞いた。


「そうだなあ。じゃがいもと人参と……あとお肉かな。玉ねぎはまだあるし……」


野菜コーナーを見ながら答える彼女に、俺は


「なんか、こうやってると新婚さんみたいやね」


と言ってやった。


それを言うと、彼女の顔はゆでダコみたいに真っ赤にして俺を見た。


それだけでも、俺は嬉しくなる。


もっともっと、俺にドキドキして。


俺を、意識して。


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りひと(プロフ) - たまさん» たま様/コメントありがとうございます!またコメントをいただけて嬉しいです!続編のほうも、引き続きよろしくお願いいたします! (2019年12月24日 11時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
たま(プロフ) - こんにちは!グッドイブニング・トウキョウから引き続きずっと読んでいます。坂田さんsideも入れて頂きありがとうございました。これからの逆襲編も楽しみですし、また坂田さんとくっつくのも楽しみにしております。これからも応援しております。 (2019年12月24日 11時) (レス) id: a928baf79e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - shioriさん» shiori様/コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!今後も楽しんで読んでいただけるよう努めて参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年12月22日 3時) (レス) id: 643f7a330d (このIDを非表示/違反報告)
shiori(プロフ) - 初コメ失礼します!浦田さんのキャラめちゃくちゃいいですね!元々惚れてますけど余計に惚れますね!応援してます!更新頑張ってください! (2019年12月22日 1時) (レス) id: f06d85eb8e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ゆずの実さん» ゆずの実様/コメントありがとうございます!どんどん更新して参りますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年12月21日 13時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りひと | 作成日時:2019年12月13日 23時

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