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「カレーがいい」と言ったのはうらたさんだった。
うらたさんは夕食のリクエストをすると、
「じゃ、俺バイトだから。また後でな」
と言って返事も聞かずに事務所に行ってしまった。
時刻は午後4時。
うらたさんがシフトを終えてうちに来るのは、いつもだいたい22時頃だから、ざっと6時間はある。
帰りがけにスーパーに寄って買い物していかないとなぁ、と思いながら
「私達も帰ろうか」
と坂田くんに声をかけた。
「Aちゃん、このあとはどうするん？」
「買い物行ってから帰って、少しゆっくりしてから、カレー作ろうかな」
「じゃ、俺も一緒に行っていい？荷物持ちくらいなら、できるから」
「そんな、悪いよ」
「ええって。Aちゃんの手料理、楽しみやし。なんか、めっちゃ嬉しいから。俺にもなんかさせて」
そういえば、坂田くんは面倒くさがって朝も抜いて、夜もちゃんとしたものを食べないような人だったと思い出して、今日くらいはちゃんと食べてもらわなきゃ、と思った。
「ありがとう。じゃ、お願いしようかな」
スーパーに行きながら、坂田くんにもリクエストを聞いてみようかな。
簡単なデザートくらいだったら、一緒に作ったら楽しいかな、なんて考えつつも、その片隅では「坂田くんに好意を寄せられているんだから、軽率なことをしてはいけない」と警鐘を鳴らす自分もいた。
私が軽率な行動をとって、坂田くんが傷つくようなことがあってはならない。
だからこそ、坂田くんに対する一挙手一投足は慎重にならざるをえなかった。
それでも、彼の好意を踏みにじるようなことはしたくなかった。
彼の好意を受け入れることも出来ず、かといって、無下にすることもできない。
どっちつかずな自分に嫌気がさす。
坂田くんはそんなこともお構い無しに、私との距離をガンガン詰めてくる。
心理的にも、物理的にも。
どうして私なんだろう。
坂田くんだったら、私なんかよりもかわいくて、性格もよくって、明るくて優しい彼女を作ることだってできるだろうに。
「Aちゃん、いこ」
いまだってほら。
彼はするりと私の手をさらっていく。
自然なように見えるけど、半歩前の坂田くんの耳が、彼の髪色と同じくらい赤く染っていて、彼の緊張が伝わってくる。
こんな、ふとした仕草にどきどきしてしまう。
私は、一体なにに迷っているんだろう。
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りひと(プロフ) - たまさん» たま様/コメントありがとうございます！またコメントをいただけて嬉しいです！続編のほうも、引き続きよろしくお願いいたします！ (2019年12月24日 11時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
たま(プロフ) - こんにちは！グッドイブニング･トウキョウから引き続きずっと読んでいます。坂田さんsideも入れて頂きありがとうございました。これからの逆襲編も楽しみですし、また坂田さんとくっつくのも楽しみにしております。これからも応援しております。 (2019年12月24日 11時) (レス) id: a928baf79e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - shioriさん» shiori様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後も楽しんで読んでいただけるよう努めて参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします！ (2019年12月22日 3時) (レス) id: 643f7a330d (このIDを非表示/違反報告)
shiori(プロフ) - 初コメ失礼します！浦田さんのキャラめちゃくちゃいいですね！元々惚れてますけど余計に惚れますね！応援してます！更新頑張ってください！ (2019年12月22日 1時) (レス) id: f06d85eb8e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ゆずの実さん» ゆずの実様/コメントありがとうございます！どんどん更新して参りますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！ (2019年12月21日 13時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月13日 23時
