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「あ、意外とうまいじゃん」
「うらたさんって、いっつも一言余計ですよね」
手軽にできるものを冷凍しておいてよかったと思いながらも、うらたさんを睨む。
彼はそんなこともお構い無しに、豚肉と小松菜の炒め物を頬張っていた。
「ほんと、普通にうまいって。今度からまかないなかったらお前ん家くるわ」
「やめてください」
と言いながらも、きっとこの人は来るのだろう。
一言余計なのは彼のデフォだ。
それでも、その中にある不器用な優しさを私は知っていた。
結局、ご飯粒ひとつも残さず平らげたうらたさんは、
「ごちそーさん」
と言って満足そうに笑った。
「お粗末さまでした」
食器を片付けている間、うらたさんはつけていたテレビには目もくれず、私の本棚を眺めていた。
ひとつを手にとっては本棚に戻し、また手にとっては戻しを何度か繰り返して、ようやく
「A、これ借りてっていい？」
と私に言った。
「どれですか？」
「これ」
そう言いながらうらたさんが見せてきた表紙はごく最近買ったものだった。
たしか、今年の芥川賞を受賞した作家の、別の作品だ。
面白くて、ひと晩で読破したのを覚えている。
シェイクスピアや漱石といった固めの文章ばかりが並ぶ私の本棚の中では、かなり読みやすい部類だろう。
「いいですよ。でも、どうして急に本なんか」
さっきまでは本なんて読まないからと敬遠した様子だったのに。
「んー、お前が面白いって言うなら、読んでみようかと思って」
曖昧に答えるうらたさんに、私はそうですか、と返すことしかできず、「まあ、読書仲間が増えるならいいか」ぐらいの気持ちで、本を貸した。
「さんきゅ。読んだら返すわ」
ふっ、と笑みを浮かべてうらたさんは本の表紙を撫でた。
彼の目には、この本がどんな風にうつっているんだろう。
なんとなくそれが、気になった。
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りひと(プロフ) - たまさん» たま様/コメントありがとうございます！またコメントをいただけて嬉しいです！続編のほうも、引き続きよろしくお願いいたします！ (2019年12月24日 11時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
たま(プロフ) - こんにちは！グッドイブニング･トウキョウから引き続きずっと読んでいます。坂田さんsideも入れて頂きありがとうございました。これからの逆襲編も楽しみですし、また坂田さんとくっつくのも楽しみにしております。これからも応援しております。 (2019年12月24日 11時) (レス) id: a928baf79e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - shioriさん» shiori様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後も楽しんで読んでいただけるよう努めて参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします！ (2019年12月22日 3時) (レス) id: 643f7a330d (このIDを非表示/違反報告)
shiori(プロフ) - 初コメ失礼します！浦田さんのキャラめちゃくちゃいいですね！元々惚れてますけど余計に惚れますね！応援してます！更新頑張ってください！ (2019年12月22日 1時) (レス) id: f06d85eb8e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ゆずの実さん» ゆずの実様/コメントありがとうございます！どんどん更新して参りますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！ (2019年12月21日 13時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月13日 23時
