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「坂田、お前補習回避？」
「そーやで、すごいやろー!!」
「まじかよー！俺補習だわあ!!坂田に負けるとかしんどい」
「おい!それどういうことやねん！」
一限が終わって、後ろからそんな声が笑い声とともに聞こえた。
えー、ほんとー？私も赤点になっちゃったのおー!と早坂さんたちの声も聞こえる。
坂田くん、テスト上手くいったんだ。よかった。
心の中でほっとしていると、ともちゃんがねえねえ、と顔を近づけてきた。
「Aちゃん、なんかいいことあった？」
「えっ？」
「なんか、嬉しそう」
「そ、そうかな？なんにもないんだけど…」
私は指先で髪をクルクルといじりって、どぎまぎしながら答えた。
坂田くんのこと考えてたの、顔に出てたかな、と焦ってポーカーフェイスをつくる。
「そうなんだ。ね、英語の小テストどうだった？」
「うん。大丈夫だったよ」
「だよねー。Aちゃん、文系科目得意だもんね」
「代わりに理系科目は苦手なんだけどね」
「赤点にならなきゃだいじょーぶだよ」
だってAちゃん、苦手って言いながら前から頭よかったもんねと笑って続けた。
そんなことないよ、と笑いながら、私はこういうの嫌だなぁと頭では思ってしまう。
こうやってみんな、社会に溶け込むすべを学んでいくんだな。
もちろん私も、例外ではなかった。
坂田くんの方をちらりと見やると、彼とばちりと目が合った。口パクで「ありがと」と言われて、顔が一気に熱くなる。
こくんと小さく頷いて、恥ずかしくて視線を机に落として、私は自分を落ち着けようと深呼吸を繰り返した。
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 17時
