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戻ってきた2人は、どことなく気まずそうで、私たちは一言も話さずに帰路に着いた。
坂田くんはセンラくんの家に泊まると言っていたので、私は1人でバスに乗る。
1人でよかった、とバスに揺られながら私は思った。
早坂さんと付き合っていたら、きっとその話をされるに決まっている。
そうなったら、私はまだ耐えるなんてできないだろう。
坂田くんと行こうという話をしていたのに、思い返せば今日はほとんど坂田くんと話していないことに気がついた。
ピロン、とスマホの通知がなった。
開くとそれは、センラくんからだった。
今日は楽しかった。また行こう。という旨のメッセージのあと、キャラクターグリーティングで撮った写真が添付されている。
スタッフの方に撮ってもらったそれは、よく撮れていた。
キャラクターを真ん中にして、その両脇に私とセンラくんが並んでいる。
2人とも笑顔で、とても楽しげだ。
「楽しかったのかな」
センラくんとまわった時間は、お世辞抜きに楽しかった。
気兼ねなく話せる、気の置けない友達。
お互いにそうだったらしく、一緒にいて楽なのは確かだった。
嫌われたらどうしようなんていう、いつもの不安がよぎることもなかった。
けれど、心のどこかで、これが坂田くんだったならと思わずにはいられないのも事実だった。
そんなやましい自分に嫌気がさす。
「坂田のこと、好きなんやろ？」
センラくんに言われた言葉を心の中で反芻する。
坂田くんのことは過去にしなければならない。
どっちにしろ、坂田くんには好きな人がいるのだ。
それが早坂さんだとしても、そうでなくても、私には見込みはない。
はあ、と息をついて私は窓の外を見つめた。
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 17時
