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やってきたのは、さっき乗ったジェットコースター近くにあるピザのお店だった。
「近くじゃなくてもよかったのに」
「いいの。私、ここのピザ好きだから」
そのピザのお店は昔から宇宙人の格好をしたロボットが、色んなマシンを使ってピザを作っている設定で、アトラクションのような気持ちになれるところだった。
注文したものを受け取るカウンターの上では、宇宙人がマシンをシューシュー言わせながら、せっせとピザを捏ねている。
私はその光景を眺めながらピザを食べるのが好きだった。
私はシーフード、折原くんはコーンとベーコンのピザをオーダーする。
まだ寒いので、コーンスープとホットコーヒーも一緒だ。
ピザを受け取って、レジ横の階段を使って2階席に登る。
2階席の方が1階席よりもそれが見やすいので、個人的にはオススメだ。
人で溢れかえっている店内でようやく見つけたテーブル席に腰を下ろすと、
「Aさん、疲れたやろ？」
と折原くんは言った。
「え？」
私はびっくりして顔を上げると、にっこりと笑った折原くんと目が合った。
「やっぱり」
「どうして、そう思ったの？」
そう見えないように、とやっていたはずだったし、学校でも1度もそんなふうに言われたこともなかったので、私は心底おどろいた。
「いや、あんだけ早坂さんに気を遣ってれば、誰だって疲れるやろ〜」
そう言いながら、折原くんはコーンがたっぷりと乗ったピザにかじりつく。
あつあつのピザからチーズがみょーんと伸びていく。
「まあ……早坂さんはあの性格だし、分からんこともないけど」
「……そっか」
私も同じようにシーフードピザにかじりつくけど、いつもよりなんだか味気ない気がした。
「せっかく来たんやし、ちゃんと楽しもうや」
そのための別行動でもあるんやから、と折原くんは言う。
「ごめんね、気を遣わせて」
「ええって。俺もその方が楽やし、Aさんと前から1度話してみたかったんよ」
「え？」
私達は初対面のはずなのに、どうして前から、なんだろう？
私が思ったことが折原くんには手に取るように分かるらしい。
彼はくすりと笑うと、
「俺、Aさんの話は坂田から聞いとってん」
「そうなの？」
「そうそう。冬休みに映画行ってきた、とかな。それで今日の約束やったんも聞いてたよ」
私はびっくりして彼の顔をまじまじと見つめた。
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 17時
