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私が好きなのは渉さんなのだと、前までなら即答できていたのに。最近おかしいのは、センラだけじゃなかったらしい。
｢答えられへんって、どういうこと？｣
私が頭の中で自問自答していると、センラは右手を下ろして私に問いかける。戸惑ったような声だ。
｢うらたんの他に……好きな男でもできたん？｣
｢それは、ちがう、けど…｣
｢けど？｣
私は、どう答えたらいいのか分からなかった。自分でも、自分自身のことが分からなかったのだ。渉さんのことだけじゃない。センラのことも、分からなかった。
最近のセンラは、私の知らない顔をすることがある。どこか思い詰めたような切ない顔は、まるで叶わぬ恋をするロミオのようで、その視線を向けられると何とも言えない気持ちになる。
センラが誰かに恋をしているのは知っている。もう、ずっと前から。逃げるのをやめると言ったのはもしかしたら、とうとう彼の恋の相手に本気になるということだろうか。
センラはいま、コンクールの大賞を逃したことでショックを受けて、こんな情けない姿を好きな人に見せられないと思っているのだろう。そう考えると、私に恋愛の話を持ちかけるのも頷けた。
彼の言動ひとつひとつが、立ち止まったままの私とは違うのだと思い知らされる。
なにか言わければと口を開いたところで、センラのため息が響いた。
｢すまん。やっぱええわ。忘れてくれ｣
彼のその姿に、ちくりと胸がいたむ。
しかし、いまの私にはセンラの問いに答えられなかった。正しいであろう答えを持っていたが、私はそれが本当に正解なのか分からなくなっていたのだ。
私がいまのセンラのように沈んでいるときは、必ずと言っていいほど隣にはセンラがいた。答えられないことを申し訳なく思う反面、何とかしてあげたいとも思う。
｢ねえ……センラ。なにか悩んでるなら、私でよければ聞くけど……｣
おそるおそる発した声は、思っていた以上に戸惑いを孕んでいた。それはセンラにも伝わったらしい、彼はゆるく首を横に振る。
｢話なんか、ええよ｣
ゆっくりと顔を上げたセンラの、悲しげな視線とぶつかる。
突如、私は彼を抱きしめなければいう衝動に駆られた。わたしが手を伸ばし切るより早く、センラが私を抱き寄せる。
｢………さみしい｣
久々に聞いた合言葉は、今にも泣き出しそうだった。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2022年3月9日 2時) (
レス) @page36 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 続編待ってました...！これからが楽しみすぎる...更新楽しみにしてます！ (2021年4月2日 16時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - いずりすさん» お久しぶりです。おまたせしました！また頑張りますのでよろしくお願いいたします！ (2021年2月20日 23時) (レス) id: f7fd8fd8e6 (このIDを非表示/違反報告)
いずりす - わぁあ!!!続編おめでとうございますぅう…!!!待ってましたぁ…。またりひとさんの作品が更新されるのもう…嬉しすぎて泣けてきます…。無理せずりひとさんのペースで更新頑張ってください!!!これからも応援してます!! (2021年2月20日 13時) (レス) id: 70d681a1bb (このIDを非表示/違反報告)
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