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「で、今日はデート約束してたんにドタキャンされたから傷心中なんやな」
センラは全部わかっているかのように話をすることがある。もちろん今回はさっき彼が言った通りの事が起こったからなんだろうけど、私が言いたいのはそういうことだけじゃなかった。
彼は分かっているのだ。誰にも言えない私の恋を、誰かに聞いて欲しいということに。もう止めなければと思っていても、やめられないことに。
全部分かっていてなお、彼はなにも知らないふりをして、私の話を聞いてくれる。
「どうもこうも、センラの言う通りだよ」
事実をオブラートに包むことなく突きつけられて、私はキッとセンラを睨めつけた。それからため息をついてビールの缶を見つめる。
「でも…………今日は、記念日だったの。向こうだって、分かってたはずなのに。私がどんな気持ちで待ってたと思ってんのよ」
「そんなこと、考えてもないんちゃう？」
だからこそ、センラの言葉は現実的で、容赦なく事実を叩きつけてくる。ストレートな物言いは彼の長所のひとつでもあるが、こういう場合に限ってはよろしくない。
未来のない関係なんて、意味がないことも分かっている。そんなものにしがみついても自分が苦しくなるだけなのも、自分がいちばん良く理解している。
「そう、なのかなあ………」
簡単に諦められる恋なら、とっくの昔に諦めている。そう出来ないでいるのは、まだ可能性がある、いつかは私の方を向いてくれるんじゃないかという、わずかな、本当に奇跡みたいなことを信じていたいからだろう。
「ほんま、Aはあほやな」
「うっさい」
そんなの分かってる。
痛いくらいに分かってる。
分かってるけど、やめられないの。
落ち込む私に、センラはうんうんと頷きながら(ときどき容赦ない正論をぶつけられながら)話を聞いてくれる。
ひと通り言い終わってスッキリすれば、今度はセンラの愚痴だったり、他愛ない話をしてくれる。
私の気持ちを軽くしてくれようとしてくれているのが分かる。私も合わせて笑うけれど、それでも頭の中で考えるのはうらたさんのことばかりだ。
行き場のない想いを押し戻すように、残りのビールを一気に飲み干した。
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あ(プロフ) - 初コメ失礼します。りひとさんの作品がとても大好きで過去作品も全て読ませて頂いております。続編もぜひ読みたいのですが、パスワードをお教えしてもらうことは出来ますでしょうか...？何分仕様が分からず、この場で聞くこと自体間違っていたら申し訳ありません。 (2021年2月10日 1時) (
レス) id: e8d9509923 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - あすかさん» 返信遅れてすみません。コメントありがとうございます。更新頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年12月14日 21時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - 初コメ失礼します！めちゃめちゃ面白くて見る度に評価押しちゃいます(笑)今1番を楽しみにしている作品です！更新頑張ってください(T_T) (2020年11月5日 21時) (レス) id: a6330c149b (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - いずりすさん» ありがとうございます。いつもと違うテイストに挑戦するので私自身もどきどきしています笑お楽しみいただけるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。いずりすさんも体調には気をつけてくださいね。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - Quuさん» ありがとうございます。お楽しみいただけるよう頑張ります。Quuさんもお体に気をつけてくださいね。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年10月14日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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