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志麻に連れてこられた食堂には、志麻以外の悪魔たちと、まふまふが揃っていた。
「A、おはよ」
いちばん先に声をかけてきたのはセンラだった。屋敷にいた頃から変わらない。テーブルに並んでいる料理は、センラが作ったものなのだろう。前にも食べたことのある料理がちらほら見えた。
「お前、寝てねぇだろ」
頬杖をつきながら、呆れたように言ってきたのはうらただ。けれど、その目はどこか優しさを宿している。
Aは彼の変わりようにいちばん驚いていた。屋敷で食べられそうになったかと思えば助けに来てくれるし、目覚めたあとはこんな風に優しさをどこかに含むようになったからだ。
どういう心境の変化があったのか、Aにはさっぱり分からない。けれど、彼がこの悪魔たちのリーダーなのだから、助けると最終決定したのも彼なのだろう。そう思うと、やはり不思議でしかたない。
「え！A、寝てへんの！？大丈夫なん？」
もぐもぐと口に含んでいたパンをようやく飲み込み、坂田が心配そうにこちらを見上げてきた。彼は前から変わらない。シャイなところがあるけれど、優しくて、真っ直ぐだ。
どうして、みんなそうやって気遣ってくれるんだろう。
実は悪魔は人間なんかよりもずっと優しい生き物なんじゃないかとAは思った。
Aは戸惑った様子で志麻を見上げた。彼は「だから言っただろ」と言わんばかりの表情で肩をすくめたあと、Aの背中をぽんと押した。
「………A、ほら」
志麻に促されるように一歩前に出る。3人とまふまふの視線がこちらに向けられ、Aは俯いてしまった。
「A…………？」
センラの気遣うような声が耳をざわつかせる。Aはなにも話せなかった。喉まで言葉が出かかってるのに、なにかが引っかかってるみたいだ。
食堂に沈黙が落ちる。皆、Aが話すのを待っているのだと言うのがわかる。でもそれを意識すればするほど、話さなければならない言葉はどんどん腹のほうに下がってしまうみたいだ。
「どうして人間の彼女のこと、そんなに大事にするんですか？禁忌の子だからですか？」
その沈黙を破ったのは、まふまふだった。彼はガーネットのような真っ赤な瞳をこちらに向けて、わけが分からないといったような顔をしていた。
まふまふの言う通りだった。それはまさに、A自身が言おうとしていたことだった。
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りひと(プロフ) - 凍華＠ラさん» コメントありがとうございます。みなさまの応援のおかげで、ありがたいことにランキングに載ることができました。今後ともお楽しみいただけるよう更新してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。 (2020年5月29日 19時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - よくランキングに載っている作品だったので、少し気になって読ませていただきました。本当に面白くて、一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。無理のない範囲での更新、頑張ってください！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたこと嬉しく思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年5月26日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 続編おめでとうございます。題名に惹かれ読み始めてこらあっという間に3作品目でびっくりです。応援してます。 (2020年5月26日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ありまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しく思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年5月25日 18時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年5月24日 23時
